全国大会で2018年度運動方針を確立


労働組合の役割を発揮し、仲間の声と思い
からすべての運動を前進させよう



運動の前進に向けて団結ガンバロー
運動の前進に向けて団結ガンバロー


議長を務めた松田君(セコム損保支部)
議長を務めた松田君
(セコム損保支部)

 9月22日、東京都千代田区にあるエデュカス東京で、全損保第76回定期全国大会が開催されました。大会は、議長に松田君(セコム損保)を選任した後、全労連事務局長代行の橋口紀塩氏、全国金融共闘副議長・金融労連書記次長の笹本健治氏、保険共済労組懇談会を代表して生保労連中央副執行委員長の米田稔氏、友好労組から損保料率算出機構労働組合委員長の良原子龍氏から来賓のあいさつを受け、一般経過報告・採決をおこなった後、議案審議に入りました。

 2018年度運動方針の提案は、中央執行委員会を代表して浦上委員長がおこないました。提案では、アメリカやユーロ圏での景気回復が続き、新興国でも回復基調となるなど堅調に推移する世界経済について、不透明なトランプ政権の経済政策や、イギリスのEU離脱交渉の先行きに加え、「地域紛争の勃発」などを要因とする地政学的リスクの高まりなどリスクが存在し、複合的に顕在化することで新たな「危機」が生じる懸念など、極めて不透明な状況を説明しました。
浦上委員長が2018年度運動方針を提案
浦上委員長が2018年度運動方針を提案
 異次元の金融緩和とマイナス金利政策をすすめる日本経済の状況について、「『景気を浮揚させる』としてすすめてきた安倍政権の経済政策は、一部の巨大企業を『儲けさせる』だけで、国民・労働や中小零細企業にはほとんど恩恵を与えていない」と指摘しました。具体的には、この間の円安効果が享受されていない中小零細企業の厳しい経営状況、増税と社会保障費の負担増など、国民・労働者に蔓延する将来不安によって、個人消費が停滞し、金利がつかないのに個人資産1,800兆円の半分が貯蓄に回っている状況を説明しました。
 また、財界・アメリカの要望を優先し、国会内での「数の力」を使って、国民の声を軽視して乱暴にすすめる安倍政権の政治について、あらゆる分野で規制改革をすすめながら、大企業が「儲けることができる」環境整備をすすめているとし、「働き方改革」についても、「使い勝手のいい労働者づくりの仕組みであり、経済政策の一環として労働者の働き方を変えるものである」と問題意識を強調しました。加えて、各種成長戦略が国民にもたらす被害と、安保関連法の具体化や「共謀罪」法、改憲の具体日程が明らかになるなど平和と民主主義を破壊する動向が強まっていることを説明しました。
 さらには、衆議院解散、総選挙については、「『真の争点は何か』をきちんと見定めて、国民として参政権を行使することが求められている」と衆議院選挙の重要性について訴えました。一方で、多くの市民が「反対」の声をあげ行動が広がっていることを紹介し、「こうした動きは、いまを変える歴史的な変化が現実のものとなっていることの表れ」とし、自らの声と力を強めていく必要性を強調しました。
 損保情勢では、大手グループをはじめ中小社も業績が好調となっている状況を説明したうえで、顧客囲い込みによるマーケットシェア競争の激化、M&Aを通じた海外事業や新規事業での収益拡大、IT化などのビジネスモデルへの対応など大手経営の姿勢と施策にふれ、「こうした競争は中小社も巻き込み、損保各社の政策すべてが収益力の強化をめざしたものとなっている」とし、各社がすすめる事業費削減と労働生産性の追求、アンダーライティングの徹底が「損保に働くものの生活と雇用、労働条件を脅かしている」としました。
 そして、「こうした経営の姿勢が雇用への攻撃となって表れている」とし、ニューインディア社での再雇用者「雇止め」とゼネラリ社の日本支店閉鎖、全員解雇という「雇用問題」を引き起こしていることを紹介したうえで、「『外資で起こっていること』ということではなく、損保産業に重大な影響を及ぼしかねない事態であると位置づけ、全組組織をあげてたたかおう」と雇用を守るたたかいへの結集を呼びかけました。そして、こうした政策が今後も乱暴にすすめられていけば、補償機能という損保の社会的役割が失われ、働くものの誇りと働きがいを奪い、損保労働者への犠牲転嫁とともに、消費者へも被害を与えるとし、「こうした事態を払拭し改善することができるのは、日々疑問を持ちながら働いている損保労働者の声である」として、職場の仲間が疑問を声に出し、労働組合がその声を土台に主張していくことが、産業、企業、職場を健全にさせていく唯一の道であることを訴えました。
 そのうえで、「運動、組織、財政の見直し」の到達点を具体化するなかで、各支部・独立分会が支え合いながら産業別単一組織の良さと機能、これまで果たしてきた役割と築いてきた到達点を後退させず運動をすすめてきた1年を振り返り、その成果を強調しました。そして、「これからも、『人を大切にする労働組合』として、この国、産業、職場、平和と民主主義を守るために、『人が集まって語り合う』ことを実践し、働くものの真の拠り所として、働くものの立場から、『生活と雇用、労働条件を守る』という原点にたちきって運動をすすめていこう」と呼びかけました。

外資のたたかいを説明する荒木書記長 左から内野さん(ゼネラリ分会)、浅岡さん、山田さん(ニューインディア分会)
外資のたたかいを説明する荒木書記長 左から内野さん(ゼネラリ分会)、
浅岡さん、山田さん(ニューインディア分会)

 午後は、冒頭、荒木書記長より、「外資のたたかい」の状況について説明があり、当該分会から決意が述べられました。その後の討論では、中執、代議員計35名が発言しました。発言は、マーケットシェアを競い合う過当競争や効率化政策がもたらす職場の被害が報告されるとともに、2017年春闘、地域での「交流・共同の場」、平和と民主主義を守る運動、外勤部、独立分会、女性のつどい、サマージャンボリーなどでの前進面が報告されました。そして、地域で「組合員が集まり語り合う」ことの大切さが確信となりました。討論のまとめを荒木書記長がおこなった後、2018年度運動方針以下すべての議案を全会一致で確立し、「秋のたたかいを意気高くすすめる決議」、大会スローガンの採択、新年度役員を選出し、新たな年度の運動をスタートしました。





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