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第90回定期全国大会で2025年度運動方針を確立
運動の前進をめざす決意を込めて
運動の前進をめざす決意を込めて


 9月18日、東京都千代田区にあるエデュカス東京で、全損保第90回定期全国大会が開催されました。

開会のあいさつ佐藤副委員長 議長の米沢谷さん(日動外勤)
開会のあいさつ
佐藤副委員長
議長の米沢谷さん
(日動外勤)
 大会は、議長に米沢谷さん(日動外勤)を選任した後、全国労働組合総連合議長の秋山正臣氏、全国金融共闘より全国農業全農協労連中央執行委員長の信川幸之助氏、保険共済労組懇談会を代表して全国生命保険労働組合連合会中央副書記長の市川勝也氏、友好労組から損害保険料率算出機構労働組合執行委員長の高岡昇平氏からそれぞれ来賓のあいさつを受け、大同火災海上労働組合からのメッセージを読み上げ、一般経過報告・採決を行った後、議案審議に入りました。


2025年度運動方針を提案
2025年度運動方針を提案


 2025年度運動方針の提案は、中央執行委員会を代表して浦上中央執行委員長が行いました。提案では、ウクライナ危機や中東情勢がもたらす未曽有の事態によって先行きが混沌とする世界経済について、物流の滞りによる資源の高騰が物価高をもたらし、企業業績や市民生活へ多種多様な被害を与え、先進国と新興国・発展途上国での格差拡大と貧困がもたらされている現実を指摘しました。
 日本では、歴史的な円安が輸出企業の収益を押し上げ、インバウンドの伸びなどを背景に、4月から6月期の全産業の経常利益が四半期ベースで過去最大となるなど、大企業を中心に景気が回復している状況を説明しました。一方で、物価上昇が続き、春闘における賃上げがその水準に達していないことから、実質賃金のマイナスが2年以上続き、国民・労働者の暮らしが圧迫され個人消費が伸び悩んでいる状況を説明しました。そのうえで、先進諸国と比べて日本だけが物価上昇に賃金上昇が追いついていないことを紹介し、「企業利益は過去最大と言われても、国民・労働者には景気回復の実感はない」と問題指摘しました。さらには、コロナ禍対応の「ゼロゼロ」融資の返済や物価高を価格に転嫁できない中小零細企業の経営はますます厳しくなっているとしたうえで、「優先すべきは、大企業優先の経済政策ではなく、適切な財政出動をおこない、物価上昇で苦しむ国民の生活を救い、少しずつでも景気の回復が実感できるような人間を大切にする経済政策が求められている」と訴えました。
 そして、岸田政権のすすめてきた政治について、「物価高に苦しむ国民を救い不安を解消する政策はほとんどない」としたうえで、「自民党の裏金問題」の真相は解明されず、防衛費の増強をすすめる一方で、崩壊が懸念される医療体制の整備やケア労働者の処遇改善を行わず国民の不安に応えない政治のあり方を指摘しました。また、改憲動向を強め、殺傷兵器の輸出を可能にするなど、平和と民主主義を破壊する動きが強まっていることを訴えました。さらには、様々な問題に対し、国民が納得できる説明をおこなわず、説明責任をはたそうとしない岸田政権の政治姿勢への問題意識を強調しました。
 一方で、多くの市民が「反対」の声をあげ行動が広がっていることを紹介し、「こうした動きは、いまを変える歴史的な変化が現実のものとなっていることの表れ」とし、自らの声と力を強めていく必要性を強調しました。
 損保情勢では、自然災害や自動車事故の増加、悪化し続ける火災保険の収支などにより、全社的に本業の業績が低迷する一方で、「保険料の事前調整」問題における業務改善命令を機に政策株式の売却が一気にすすめられ大手グループの純利益が過去最高となった決算状況を説明し、本業の収支悪化への対応としてすすめられる保険料の引き上げによって消費者へ負担を強いていると説明しました。事業環境の先行きに危機感を強める損保経営は、金融庁の指導もあって、これまでのマーケットシェア重視の政策の見直しが迫られているなかでも、業務の効率化による労働生産性の向上と収益力の強化を追求するその姿勢と施策にふれ、「中小社も競争に否応なく巻き込まれ、損保各社の政策すべてが収益力の強化をめざしたものとなっている」としました。そのうえで、「収益力の強化」と「収益拡大」をめざし、自社利益を優先し消費者を軽視する姿勢、損保のなかにある長年の商慣習などが、「保険料の事前調整」、BIGモーターにかかわる「保険金不正請求」、「情報漏洩」など一連の問題を引き起こしたとし、「損保産業の信頼を損なう重大な問題であり、産別の労働組合として産業の健全性を取り戻すことを主張していくことで消費者の信頼を取り戻さなければならない」と指摘しました。
 また、テレワークについては、会社全体の方針を定めず、職場、職種による対応のばらつき、人間関係やコミュニケーションの不足などによる期中退職者の増加という課題を説明し、「私たち労働組合は、『生産性の観点』ではなく、職場の声を大切に、不安を払拭し、働きやすい職場、納得できる職場運営を求めてとりくんでいく必要がある」と訴えました。
 2024年度の運動については、コロナ禍前と同規模・内容の運動までは至らなかったとしつつ、リモートによる「地域組合員との意見交換会」を発展させ、リアルに地域の組合員が「集まって語り合う」場の開催など、全体の協力と工夫ですすめた具体的な運動を紹介しました。そのうえで、「コロナ禍を乗り越え、全体で工夫し協力し合って運動をすすめた1年となった」と振り返りました。最後に、「次年度も人が集まって語り合う場の大切さをいつも忘れず、みんなで協力し合いながら運動を前進させていこう」と運動の前進を呼びかけました。

 その後の審議では、中執、代議員、オブザーバー計28名が発言しました。発言は、企業収益、「合理化・効率化」、労働生産性の追求が主眼におかれるもとでも、諸問題への対応に奔走する各社政策の問題点や矛盾、テレワークによってコミュニケーションが不足し期中退職者が増加する実情など、職場の歪みや矛盾、被害が報告されるとともに、納得のもてる到達点を築いた2024年春闘、平和のとりくみや「集まり語り合う」場の大切さと全損保が持つ良さと役割の重要性が語られ、知恵を出し合いながらすすめた運動の前進面を確認し合い、あらためて企業や職場の違いをこえて「集まり、話し合い、励まし合える」全損保の大切さが確信となりました。

 討論のまとめを荒木常任中執が行った後、2025年度運動方針以下すべての議案を圧倒的多数の賛成で確立し、「秋のたたかいを意気高くすすめる決議」、大会スローガンの採択、新年度役員を選出し、新たな年度の運動をスタートしました。
大会報奨を受ける荒木さん 閉会のあいさつ:禹信副委員長
大会報奨を受ける荒木さん
※故中島副委員長にも大会報奨が贈られました

閉会のあいさつ
禹新副委員長






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