「人が集まって語り合うこと」の
大切さを忘れず団結を強化し、
物価高をこえ生活改善をはかる
賃金引上げをかちとる
2025年春闘方針を全員一致で確立

全損保第91回定期全国大会を開催
大幅賃上げをめざして団結ガンバロー
大幅賃上げをめざして団結ガンバロー


 3月12日、全損保第91回定期全国大会を東京(エデュカス東京)において開催しました。

議長の竹場代議員(Chubb Japan支部) 開会あいさつの長塚賃対部長
議長の竹場代議員
(Chubb Japan支部)
開会あいさつの
長塚賃対部長
 大会は、長塚常任中執(賃対部長)の開会のあいさつにはじまり、竹場代議員(Chubb Japan支部)を議長に選出した後、来賓として国民春闘共闘の黒澤事務局長(全労連事務局長)、友好労組である損保料率機構労組の末書記長、大同労組の金城委員長からそれぞれ挨拶を受けました。その後、及川書記長が一般経過報告と一般会計収支中間報告、石綿会計幹事が監査報告を行い、自賠責損調労組からのメッセージ代読の後、佐藤副委員長が議案第1号「2025年春闘方針」を提案しました。

2025年春闘方針を提案する佐藤副委員長
2025年春闘方針を提案する
佐藤副委員長

 提案では、14年経った東日本大震災やその後に起こった大規模災害について、いまなお避難生活を余儀なくされている被災者、被災地の現状にふれ、あらためて政治や経済が被災地の方々が安心して暮らせるための生活の復興、地域の復興へ果たす役割の重要性とともに、全国各地で起こる大規模災害で被災者の暮らしや街の復興を下支えしたという損保の担った役割の重要性を強調しました。
 そのうえで、ウクライナ危機や中東での戦闘の長期化によって、穀物やエネルギーの供給不足や物流の滞りによる物価の高止まりと景気後退の懸念、各国の金利政策やトランプ大統領の関税をテコにした政策の動向などによって先行きが混沌とする世界経済について説明しました。日本については、12月期決算で経常利益の合計が13%増加し過去最高を更新するなど大企業の業績が好調となっている状況を説明したうえで、「大企業が得ている巨額の利益が物価高に苦しむ国民の生活改善や雇用の拡大には回っていない」とし、大企業の内部留保が過去最高を更新するなかで、長期化する物価高が家計を直撃し、3年連続で下がり続ける実質賃金と停滞する個人消費の状況、中小企業の倒産件数が急増するなど国民・労働者の雇用が脅かされ、かつてない将来不安が広がる状況を明らかにしました。
 そのうえで、「国民が求めているのは、安心して暮らせるための経済政策であり、『誰もが景気が良くなった』と実感できる経済政策への転換です」と強調しました。そして、物価高に苦しむ国民の不安に応えず、防衛費を増額するための大増税を検討する一方で、医療体制の充実や物価高への対応などは国民の不安を払拭するものとはなっておらず、一気に噴出する「政治とカネ」の問題などに対して説明責任を果たさない政権の姿勢を批判しました。また、日本被団協がノーベル平和賞を受賞するなかでも核兵器禁止条約への参加を拒み続ける日本政府の姿勢や改憲動向の強まりなど、平和と民主主義を破壊する動きが強まっている状況について、その危険感を指摘しました。こうしたなか、政府の「賃上げ」要請を受けた経団連が経労委報告に「構造的な賃金引上げ実現への貢献が経団連と企業の社会的責務」と明記し賃上げを会員企業に呼びかけていることを紹介したうえで、「真に賃上げを呼びかけるのであれば、これまでと次元を変えて、稼いだ利益の労働分配率を引上げようではないか」と疑問を語り、経営の出方への注視が必要だとしました。そして、「春闘で要求を掲げ、たたかい、かちとることができるのは、労働組合だけが持っている権利であり、労働組合主導で春闘をたたかうことが求められている」と訴えました。
 損保情勢では、大手グループで政策株式の売却益が利益水準を押し上げる一方で、物価高による保険金支払い単価が上昇するなど本業の業績が思うように伸びない業績動向を説明したうえで、人口減少や自動運転技術の進展による既存市場の縮小、ビジネスモデルの変化、停滞する経済情勢など多岐にわたる課題が存在しているとし、「経営にはそのすべての対応に一層のスピードが求められていることから、事業の先行きに危機感を強めている」と強調しました。そして、金融庁の指導によって、これまでのマーケットシェアを重視した政策の見直しを迫られるなかでも、中小社も含めて職場に歪みをふりまきながら収益の拡大を求めており、各社の政策すべてが「収益力の強化」をめざしたものとなり、「合理化・効率化」、労働生産性を追求する動きが強まっていると指摘しました。また、こうした政策と自社利益を優先し消費者を軽視する姿勢、長年の商慣習などが引き起こした「保険料の事前調整」をはじめとした不祥事の問題点を説明し、「こうした事態は過去に生じた『保険金の一部不払い、保険料取り過ぎ問題』にも通じ、補償機能の発揮という損保産業の社会的な信頼を損なう事態であり、問題の本質を解決して社会からの信頼を取り戻さなければならない」と強調しました。そして、こうした各社政策の歪みや矛盾がすべての損保労働者に押しつけられ、生活と労働条件を脅かし、働くものの誇りと働きがい、産業の社会的役割を喪失させていることを職場の実態から説明し、将来不安がさらに高まっている状況を訴えました。一方で、物価高で厳しい生活を強いられるなか、賃金水準の引上げに対する職場の期待と要求が例年以上に高まっているアンケート結果を紹介しました。
 こうした状況のもとでたたかう2025年春闘については、「集まって語り合う」ことの大切さを忘れず、職場の声や思いを土台として「すべての支部・独立分会が賃上げを柱とした要求に固執し、この労働組合に組合員が結集して自らの手で展望をきりひらく春闘にしていこう」と訴え、昨春闘に引続き要求水準を提示した統一基準案など春闘の具体的な方針を説明しました。

 この提案を受けた議案審議では、計21名の中執、代議員、オブザーバーから活発な発言がありました。「保険料調整」、「保険金不正請求」など一連の不祥事を象徴とした損保の社会的役割発揮とかけ離れた各社の政策や働かされ方の問題点、要員が圧倒的に不足し「歪み」がもたらされる職場の現実、働きがいの喪失や将来不安の高まりなど、職場に生じている疑問や問題意識が出されました。一方で、労働組合として最も大切にしなければならないのは「人が集まって語り合うこと」であり、そのことを忘れずに企業をこえた組合員のつながりの必要性、「物価高をこえて生活を改善する賃上げをめざす」といった大幅な賃上げをかちとる決意や構えが語られました。

討論をまとめる浦上委員長 禹副委員長が閉会あいさつ
討論をまとめる
浦上委員長

禹副委員長が
閉会あいさつ

 審議の最後に執行部を代表して浦上委員長が討論のまとめをおこない、2025年春闘方針は全員一致で確立されました。審議終了後、春闘宣言が採択され、禹副委員長の閉会挨拶・団結ガンバローで全国大会を締めくくりました。

 この全国大会で確立した春闘方針に従い、各支部・独立分会は3月13日一斉に要求書を提出し、「賃上げを礎に 職場の歪みを正し 生活を立て直す」全損保の2025年春闘が本格的に始まりました。




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