全損保第88回定期全国大会開催

全損保らしさをいかし
働く仲間の声と思いにたって
運動を前進させよう
2024年度運動方針を確立
運動の前進をめざす決意を込めて
運動の前進をめざす決意を込めて

開会のあいさつ中島副委員長 議長の吉川さん(日新)
開会のあいさつ
中島副委員長

議長の吉川さん
(日新)

 9月20日、東京都千代田区にあるエデュカス東京で、全損保第88回定期全国大会が開催されました。大会は、議長に吉川さん(日新)を選任した後、全労連事務局の黒澤幸一氏、全国金融共闘事務局長・全証労協議長の金子正史氏、保険共済労組懇談会を代表して生保労連中央副執行委員長の阪本裕実子氏、友好労組から損害保険料率算出機構労働組合委員長の小山陽一朗氏、リモートで大同火災海上労働組合副委員長の新垣良貴氏からそれぞれ来賓のあいさつを受け、一般経過報告・採決をおこなった後、議案審議に入りました。

浦上委員長が議案第1号を提案
浦上委員長が議案第1号を提案


 2024年度運動方針の提案は、中央執行委員会を代表して浦上中央執行委員長がおこないました。提案では、コロナ禍とウクライナ危機がもたらす未曽有の事態によって先行きが混沌とする世界経済について、物流の滞りによる資源の高騰が物価高をもたらし、企業業績や市民生活へ多種多様な被害を与え、先進国と新興国・発展途上国での格差拡大と貧困がもたらされている現実を指摘しました。
 日本では、感染拡大の落ち着きとともに行動制限が緩和され、非製造業を中心に全産業で経常利益が前年を上回り、内部留保が過去最高を更新するなど、大企業を中心に景気が回復している状況を説明しました。一方で、食料品などの生活必需品を中心に、物価が高止まりし、春闘における賃上げがその水準に達していないことから、実質賃金が16ヵ月連続でマイナスとなり、国民・労働者の暮らしが圧迫され個人消費が伸び悩んでいる状況を説明しました。そのうえで、先進諸国と比べて日本だけが物価上昇に賃金上昇が追いついていないことを紹介し、「GDPが増加していると言われても、国民・労働者には景気回復の実感はない」と問題指摘しました。さらには、コロナ禍対応の「ゼロゼロ」融資の本格的な返済が始まるなど、中小零細企業の経営はますます厳しくなっているとしたうえで、「優先すべきは、大企業優先の経済政策ではなく、適切な財政出動をおこない、物価上昇で苦しむ国民の生活を救い、少しずつでも景気の回復が実感できるような人間を大切にする経済政策が求められている」と訴えました。
 そして、コロナ禍が終息したかのようにすべての政策が経済対策に主眼が置かれ、東アジア情勢を理由に防衛費倍増を決める一方で、崩壊が懸念される医療体制の整備やケア労働者の処遇改善をおこなわず国民の不安に応えない政治のあり方を指摘しました。また、改憲動向を強め、殺傷兵器の輸出を可能にする「防衛装備移転三原則」の緩和を検討するなど、平和と民主主義を破壊する動きが強まっていることを訴えました。さらには、様々な問題に対し、国民が納得できる説明をおこなわず、説明責任をはたそうとしない岸田政権の政治姿勢への問題意識を強調しました。
 一方で、多くの市民が「反対」の声をあげ行動が広がっていることを紹介し、「こうした動きは、いまを変える歴史的な変化が現実のものとなっていることの表れ」とし、自らの声と力を強めていく必要性を強調しました。
 損保情勢では、自然災害やコロナ禍からの回復に伴う自動車事故の増加、火災保険の収支悪化などにより、全社的に減益となった決算状況を説明し、その対応としてすすめられる保険料の引き上げによって消費者へ負担を強いていると説明しました。事業環境の先行きに危機感を強める損保経営のもとですすめられる顧客囲い込みによるマーケットシェアの競い合い、業務の効率化による労働生産性の向上と収益力の強化を追求する大手経営の姿勢と施策にふれ、「中小社も競争に否応なく巻き込まれ、損保各社の政策すべてが収益力の強化をめざしたものとなっている」としました。そのうえで、「収益第一をめざした施策の結果もたらしたのが、『共同保険』のしくみを使った企業保険での事前保険料調整であり、BIGモーターにかかわる一連の問題である」とし、2005年に生じた「保険料の一部不払い、保険料取り過ぎ問題」と共通する問題点を指摘したうえで、「損保産業の信頼を損なう重大な問題であり、損保の社会公共性に照らして反省し、改善していくことで消費者の信頼を取り戻さなければならない」と指摘しました。
 また、テレワークについては、会社全体の方針が徹底されず、職場、職種による対応のばらつき、人間関係やコミュニケーションの不足などによる期中退職者の増加という課題を説明し、「私たち労働組合は、『生産性の観点』ではなく、職場の声を大切に、不安を払拭し、働きやすい職場、納得できる職場運営を求めてとりくんでいく必要がある」と訴えました。
 2023年度の運動については、コロナ禍前と同規模・内容の運動までは至らなかったとしつつ、感染対策を徹底するなかで、リモートによる「地域組合員との意見交換会」を発展させ、リアルに地域の組合員が「集まって語り合う」場の開催など、全体の協力と工夫ですすめた具体的な運動を紹介しました。そのうえで、「『今、できることは何なのか』ということに悩みながらも、工夫し協力し合えば運動を前進させることができる確信を持つことができた1年となった」と振り返りました。
 最後に、「次年度も人が集まって語り合う場の大切さをいつも忘れず、みんなで協力し合いながら運動を前進させていこう」と運動の前進を呼びかけました。

閉会のあいさつ:佐藤副委員長
閉会のあいさつ
佐藤副委員長

 その後の審議では、中執、代議員、オブザーバー計20名が発言しました。発言は、企業収益、「合理化・効率化」、労働生産性の追求が主眼におかれる各社政策の問題点や矛盾、テレワークによってコミュニケーションが不足し期中退職者が増加する実情など、職場の歪みや矛盾、被害が報告されるとともに、納得のもてる到達点を築いた2023年春闘、平和のとりくみや「集まり語り合う」場の大切さと全損保が持つ良さと役割の重要性が語られ、知恵を出し合いながらすすめた運動の前進面を確認し合い、あらためて企業や職場の違いをこえて「集まり、話し合い、励まし合える」全損保の大切さが確信となりました。
 討論のまとめを浦上委員長がおこなった後、2024年度運動方針以下すべての議案を全会一致で確立し、「秋のたたかいを意気高くとりくむ決議」、大会スローガンの採択、新年度役員を選出し、新たな年度の運動をスタートしました。

すべての議案を全会一致で確立
すべての議案を全会一致で確立





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