全損保第87回定期全国大会を開催

「人が集まって語り合うこと」の
大切さを忘れず団結を強化し、
確信をもってたたかい賃上げをかちとる
2023年春闘方針を全員一致で確立

要求の実現にむけ団結ガンバロー
要求の実現にむけ団結ガンバロー


 3月15日、全損保第87回定期全国大会を東京(主婦会館プラザエフ)において開催しました。

開会あいさつの西田賃対部長 議長の友野代議員(あいおいニッセイ同和)
開会あいさつの
西田賃対部長

議長の友野代議員
(あいおいニッセイ同和)

 大会は、西田常任中執(賃対部長)の開会のあいさつにはじまり、友野代議員(あいおいニッセイ同和支部)を議長に選出した後、来賓として国民春闘共闘の黒澤事務局長、全国金融共闘の金子事務局長、友好労組である損保料率機構労組の美濱委員長、大同労組の田場委員長はリモートで、それぞれ挨拶を受けました。その後、及川書記長が一般経過報告、中島財政部長が一般会計収支中間報告、石綿会計幹事が監査報告をおこない、自賠責損調労組からのメッセージ代読の後、浦上委員長が議案第1号「2023年春闘方針」を提案しました。

2023年春闘方針を提案する浦上中央闘争委員長
2023年春闘方針を提案する
浦上中央闘争委員長

 提案では、12年経った東日本大震災について、いまなお避難生活を余儀なくされている被災者、被災地の現状にふれ、あらためて政治や経済が被災地の方々が安心して暮らせるための生活の復興、地域の復興へ果たす役割の重要性とともに、全国各地で起こる大規模災害で被災者の暮らしや街の復興を下支えしたという損保の担った役割の重要性を強調しました。
 そのうえで、新型コロナウイルス感染症への対応やウクライナ危機によって、世界各国で歴史的な物価高が続き、その対策としてすすめられる急激な金利上昇による為替・株式市場の不安定さ、景気後退リスクの高まりなどによって先行きが混沌とする世界経済について説明しました。
 日本については、全国的な行動制限の解除によって、9月期決算で経常利益の合計が18%増加し、コロナ禍前の水準を上回り大企業の業績が好調であるとしたうえで、「企業が稼ぎ出す利益がコロナ禍と物価高に苦しむ国民の生活改善や雇用の拡大には回っていない」とし、大企業の内部留保が過去最高を更新するなかで、40年ぶりと言われる急激な物価高騰が家計を直撃し、実質賃金の目減りと停滞する個人消費の状況、倒産件数が増加するなど国民・労働者の雇用が脅かされ、かつてない将来不安が広がる状況を明らかにしました。
 そのうえで、「国民が求めているのは、感染拡大の終息を前提に、富の一極集中ではなく、『誰もが景気が良くなった』と実感できる経済体制への転換である」と強調しました。そして、コロナ禍や物価高への対応で国民の不安に応えず、防衛費を増額するための大増税を検討する一方で、求められる医療体制の充実やケア労働者の処遇改善をすすめず、その政策に対する説明責任を果たさない政権の姿勢を批判しました。また、安保関連3文書の改定による「戦争ができる国」づくり、改憲動向の強まりなど、平和と民主主義を破壊する動きが強まっている状況について、その危険性を指摘しました。
 こうしたなか、政府の「賃上げ」要請を受けた経団連の姿勢について、「『ベアを中心に物価高に負けない賃上げを』と会員企業に呼びかけているが、その大前提は企業業績であり、労働者のための賃上げを呼びかけているわけではない」と経営の出方への注視が必要だとしました。
 一方で、「国民の声と行動が変化を生む」という「歴史的転換点」にある時代の特徴にふれ、「こうした政策をすすめる政権に対する国民の目は厳しくなっており、政治課題で多くの国民が『NO』の意思を示し、市民が『反対』の声をあげて行動が広がっている」と強調し、「声に出して行動を起こせば、時代が変わる歴史的転換期であり、私たちが安心して暮らせる国にするためのせめぎあいが続いていることを確信に、声に出し力を結集してたたかうことで、私たちの明日を手にしていこう」と訴えました。
 損保情勢では、大手グループが過去最高益であった前年度に比べて減益傾向にある業績動向を説明したうえで、人口減少や自動運転技術の進展による既存市場の縮小、払拭されない大規模自然災害の発生懸念など、これまで経営が注視していた要因に加え、コロナ禍やウクライナ危機の長期化による経済停滞、スピードが求められるデジタル化への対応といった従来とは次元の異なる課題を経営が抱えているとし、「事業環境の先行きが不透明さとともに厳しさを増していることから、経営の危機感や焦燥感を一層募らせている」とし、中小社も巻き込んで損保各社の政策すべてが「収益力の強化」をめざしたものとなり、「合理化・効率化」、労働生産性を追求する動きが強まっていると指摘しました。そして、コロナ禍への対応としてすすめられるテレワークでは、職場、職種によるばらつき、コミュニケーションの不足という課題が明らかになっているとしました。
 また、「早期支払い」を指標に競争が激化する災害対応も含めて各社政策の歪みや矛盾がすべての損保労働者に押しつけられ、生活と労働条件を脅かし、働くものの誇りと働きがい、産業の社会的役割を喪失させていることを職場の実態から説明し、将来不安がさらに高まっている状況を訴えました。一方で、賃金水準の引上げに対する職場の期待と要求が例年以上に高まっているアンケート結果を紹介しました。そして、昨春闘同様に、「人が集まることに困難さがある」としたうえで、「全損保には、常に組合員一人ひとりの声と思いを大切にして、どのような困難な事態にも怯まず乗り越えてきたという70年のたたかいがある。その経験と教訓、昨春闘の成果や到達点を力に、2023年春闘もすべての支部・独立分会が賃上げを柱とした要求に固執し、この労働組合に組合員が結集して自らの手で展望をきりひらく春闘にしていこう」と訴え、23年ぶりに要求水準を提示した統一基準案など春闘の具体的な方針を説明しました。

討論をまとめる及川書記長 佐藤副委員長が閉会あいさつ
討論をまとめる
及川書記長

佐藤副委員長が
閉会あいさつ

 この提案を受けた議案審議では、計23名の中執、代議員、オブザーバーから活発な発言がありました。損保の社会的役割発揮とかけ離れた各社政策やコロナ禍での働かされ方の問題点、要員が圧倒的に不足し「歪み」がもたらされる職場の現実、雇用や労働条件に対する不安の高まり、各社政策への疑問や問題意識が出されました。一方で、労働組合として最も大切にしなければならないのは「人が集まって語り合うこと」であり、そのことを忘れずに企業をこえた組合員のつながりの必要性、「いま賃上げせずしていつするのか」など賃上げをかちとる決意や構えが語られました。
 審議の最後に執行部を代表して及川書記長が討論のまとめをおこない、2023年春闘方針は全員一致で確立されました。

 審議終了後、春闘宣言が採択され、佐藤副委員長の閉会挨拶・団結ガンバローで全国大会を締めくくりました。

 この全国大会で確立した春闘方針に従い、各支部・独立分会は3月16日一斉に要求書を提出し、「今こそ賃上げ 主張を束ねて団結を強め、確信をもってたたかう」全損保の2023年春闘が本格的に始まりました。    


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