全損保第82回定期全国大会開催
2021年度運動方針を確立


70年間で築いた到達点を土台に、
すべての運動を前進させよう


集まって語り合うことの大切さを確信に
集まって語り合うことの大切さを確信に


議長の藤野君
議長の藤野君
(楽天損保支部)
 9月16日、東京都千代田区にあるエデュカス東京で、全損保第82回定期全国大会が開催されました。
 大会は、新型コロナウイルスの感染防止対策を十分おこなったうえで、議長に藤野君(楽天損保)を選任した後、全労連議長の小畑雅子氏、全国金融共闘事務局長・全証労協事務局長の金子正史氏、保険共済労組懇談会を代表して生保労連中央副書記長の田中祥平氏、友好労組から損害保険料率算出機構労働組合委員長の山田祐輝氏から来賓のあいさつを受け、一般経過報告・採決を行った後、議案審議に入りました。



 2021年度運動方針の提案は、中央執行委員会を代表して浦上委員長が行いました。議案提案では、新型コロナウイルスがもたらす未曽有の事態に関して経済状況を中心に説明しました。世界中で市民の日常生活に厳しい制限がかけられ、主要各国のGDPを中心に世界経済が急激に落ち込んでいる状況を明らかにしました。日本でも、政府が要請する不要不急の外出自粛、企業に対する出勤者の制限、飲食店などに対する営業自粛などにより、全産業的に経営が厳しい状態に置かれている状況を、かつてなく低下している各種経済指標から明らかにし、企業倒産や解雇・雇止めが急増するなかで、「国民の不安が増大し社会生活全体に大きな影を落としている」と強調しました。また、7年8ヵ月におよんだ安倍政権の経済政策については、国民生活が改善しない一方で、大企業に巨額の富を享受してきた政策の矛盾について指摘し、「人類が未曽有の危機に瀕している今、大企業本位の経済政策を転換させ、適切な財政出動で国民の生活を救い、少しずつでも景気の回復が実感できるような人間を大切にする経済政策が求められている」と訴えました。そして、財界・アメリカの要望を優先し、国会内での「数の力」を使って、国民の声を軽視して乱暴にすすめる安倍政権の強行的な姿勢を指摘したうえで、毎年増加し続ける防衛費や国民に不安や被害をもたらす各種成長戦略、安保関連法の具体化による自衛隊への新任務の付与、急ピッチに深まる改憲の動向など、平和と民主主義を破壊する動きが強まっていることを説明しました。そして新たに誕生した菅政権について、「安倍政治の継承を掲げており、これまで以上に政治の動向を注視しなければならない」としました。一方で、多くの市民が「反対」の声をあげ行動が広がっていることを紹介し、「こうした動きは、いまを変える歴史的な変化が現実のものとなっていることの表れ」とし、自らの声と力を強めていく必要性を強調しました。
 損保情勢では、相次ぐ大規模自然災害による保険収支の悪化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大によって、事業環境の先行きがますます不透明になっていることから、損保経営の危機感が増しているとしたうえで、顧客囲い込みによるマーケットシェア競争、業務の効率化によって労働生産性を追求する大手経営の姿勢と施策にふれ、「圧倒的な寡占化となっている日本の損保市場のなかで、中小社も競争に否応なく巻き込まれ、損保各社の政策すべてが収益力の強化をめざしたものとなっている」としました。また、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、在宅勤務、対面業務の自粛などが求められる職場について、在宅勤務にかかわる環境整備が整っておらず、個々人に様々な負荷がかかっていることを指摘し、「今後、経営が労働生産性を高めるためにこうした働き方を推進していくことが想定されている。しかし、私たちは、経営の言う『労働生産性』の観点ではなく、働きやすい職場環境を求めていく立場で、職場の実態や声を十分把握し、課題を見出し要求につなげていく必要がある」と訴えました。
 そのうえで、結成70周年記念事業を核に運動をすすめた2020年度について、「記念レセプション」「記念シンポジウム」「本部オルグ」「女性のつどい」「西日本のつどい」を紹介し、「こうしたとりくみを通じて、『人が集まって語り合う』ことを、70年間大切に運動をすすめてきた全損保の良さをあらためて実感することができた」と強調しました。一方で、新型コロナウイルスによって3月の全国大会をはじめとして多くの会議・とりくみを中止せざるを得なかったことにもふれたうえで、サマージャンボリー実行委員会に札幌や福岡の若手組合員がリモートで参加したことを紹介しました。そして、「地協東京ニュース」で組合員が語った「集まることができなかったからこそ、集まることの大切さを認識した」とする声を紹介し、「こうした声をあげてくれる仲間が多くいることに全損保の将来展望を感じる」と思いを述べました。
 最後に、「尻すぼみとなった今年度の運動だったからこそ、『人が集まって語り合う』ことの大切さをあらためて認識し合えた。このことが次年度の運動をすすめる力であり、70年を経過したこの労働組合の土台とすることで運動は前進していく」と運動の前進を呼びかけました。

討論のまとめをおこなう荒木書記長 及川新書記長が閉会
討論のまとめをおこなう
荒木書記長
及川新書記長が
閉会
 その後の審議では、中執、代議員計21名が発言しました。発言は、マーケットシェアを競い合う大手社がすすめる政策の問題点や矛盾、在宅勤務など働き方の急変に戸惑う組合員の実情など、職場の歪みや矛盾、被害が報告されるとともに、70周年記念事業で感じた全損保の良さ、納得のもてる到達点を築いた2020年春闘、地域のとりくみや平和と民主主義を守る運動の大切さが語られ、外勤部や独立分会のとりくみ、女性のつどいなどでの前進面が報告されました。そして、「集まることが難しい今だからこそ、集まることの大切さを実感した」などの発言が多く出され、あらためて企業や職場の違いをこえて「集まり、話し合い、励まし合える」全損保の大切さが確信となりました。討論のまとめを荒木書記長が行った後、2021年度運動方針以下すべての議案を全会一致で確立し、「秋のたたかいを意気高くすすめる決議」、大会スローガンの採択、新年度役員を選出し、新たな年度の運動をスタートしました。


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