「働き方改革」の動向と問題点、損保の職場に与える影響を考える

4・19春闘決起中央集会に56名が参加

春闘後半戦に向けて意思統一した中央集会
春闘後半戦に向けて意思統一した中央集会


 4月19日(水)、東京で、「4・19春闘決起中央集会〜『働き方改革』の動向と問題点、損保の職場に与える影響を考える〜」を開催し、10支部2独立分会と友好労組から56名が参加しました。

講演の長谷川悠美弁護士
講演の長谷川悠美弁護士

 本集会は、2017年春闘における全損保統一行動週間のメイン行事に位置づけ、講演では、長時間労働の是正や非正規雇用の処遇改善とともに、裁量労働制の対象拡大と「高度プロフェッショナル制度」の導入をも具体化しようとしている「働き方改革」について、その動向と政府・財界の狙い、問題点を学ぶとともに、労働者への被害や損保の職場に与える影響を考えるために、長谷川悠美弁護士(東京法律事務所)をお招きしました。また、全損保春闘の報告もおこない、自主交渉打切日に向けた春闘決起の場として開催しました。

 長谷川弁護士の講演は、「働き方改革」に関する論議の経過や日本における長時間労働の実態を表したデータを詳細に書かれたレジメにもとづき詳しく説明がおこなわれました。冒頭、2017年1月20日の安倍首相の施政方針演説を紹介し、「経済政策でめざしていたトリクルダウンが起きず、労働者の支持が得られないことから、同一労働同一賃金や長時間労働の抑制という耳触りの良い言葉が並んでいる」と、「働き方改革」の背景を政権維持のためであると指摘しました。そして、現行の法的な労働時間規制とそれを緩めようとする法案の内容と問題点を説明しました。
 また、日本の長時間労働の実態をデータで紹介し、「裁量労働制が適用されている労働者は通常の労働者と比べて総体的に労働時間が長くなっている」と裁量労働制が長時間労働の実態を悪化させていることを強調しました。そのうえで、今回具体化されようとしている「裁量労働制の対象拡大」について、「労基法第38条2項の手続き要件を不明確にし、広く解釈できる条文とすることで、営業職のほとんどが裁量労働制を適用される危険性が高くなる」と指摘しました。さらに、割増賃金の支払い義務を免除する「高度プロフェッショナル制度」の危険性を政府・財界の狙いも含めて説明しました。そして、労働時間の上限を「100時間未満」にしようとしていることに対しても、「労災認定のラインであり、問題だらけの法案になっている」と問題点を強調しました。
進行の全損保組対部中島さん
進行の全損保組対部中島さん

 また、「女性の活躍推進」にもふれ、損保で生じている女性層の働き方の見直しについて、「安倍政権の同一労働同一賃金政策は、正規と正規の格差是正は範囲外となっており、労働組合の運動で改善をはかることが重要」と訴えました。最後に、「使用者には安全配慮義務があるが、そこにも影響が出る懸念がある」とし、「現行の労働時間規制の目的は、『8時間の労働、8時間の睡眠、8時間の自由時間』であり、この規制に立ちかえって『働き方改革』の問題点を認識し合い、労働者の雇用や労働、職場を守るためにも、それぞれの持ち場でたたかい、改悪を阻止しよう」と、労働組合が視野広くたたかうことを訴えました。
 次に、浦上委員長が「全損保では、労災闘争をたたかった歴史がある。こうした不幸な事態を二度と起こさないためにも、損保の職場の労働時間規制は守っていかなければいけない」と講演で学んだことを各支部・独立分会でとりくみにいかしていくことを訴えました。そして、全損保春闘のたたかいの状況について説明し、「春闘はみんなの要求。だからみんなでたたかい、みんなで成果を勝ちとろう」と自主交渉打切日に向けて各支部・独立分会の奮闘を呼びかけ集会を終了しました。

参加者の感想から
安倍政権の勧める「働き方改革」の実態を分かりやすく説明していただき理解しやすかった。組合運動の重要性を再認識できるものでした。当社も契約社員の割合が7割に達し、まったく同じ問題が存在すると考えています。
企画業務型裁量労働制が導入されている当支部においても、実労働時間とみなし労働時間の乖離をうかがわせる事例が散見され、運用の監視、見直しを検討する時期に来ていると考えています。今回の講演においても、裁量労働における長時間労働、休日労働の実態資料が提供され、あらためて問題意識が高まりました。労使交渉にもいかしたいと考えます。
「働き方改革」という言葉が先行して一人歩きしてしまっているなかで、働き方改革の根幹を振りかえることができ、非常に勉強になりました。職場のなかでも、「働き方改革=善」という一面だけが認識されてしまっているように感じるため、労働組合として働き方改革の本質を組合員に広げることも重要だと思いました。
初めて参加させていただきました。講演は非常に分かりやすく、内容もタイムリーな法改正に関するもので、最後まで興味深く拝聴しました。安倍政権の推進する「働き方改革」について、新聞やニュースで得る情報からイメージしていたものと、実際におこなおうとしている法改正の実態にかなりの矛盾を感じました。自分の権利を守るためには、他人任せではいけない。自らNoと言えるように正しい知識を身に付けなければいけないと思いました。とても貴重な体験になりました。


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