新年のごあいさつ

“集まって語り合うこと”で運動を前進させよう

2017年1月 全損保中央執行委員長 浦上義人

 昨年は、異次元の金融緩和策によってすすんでいた株高、円安が大企業を中心に業績を回復させてきましたが、その恩恵は多くの中小企業、国民・労働者には行き渡っていません。2016年春闘では、大企業が巨額の利益を計上するなかでも賃上げの水準は前年を大きく下回るものとなりました。そして、非正規雇用が右肩上がりに増加することも影響し、実質賃金は5年連続で下降し、消費を冷え込ませており、景気回復には程遠い状況です。さらには、裁量労働制の対象範囲拡大や高度プロフェッショナル制度の導入などの労基法改悪が具体的に検討されるなど、労働者をとりまく環境も大きく変化しています。そして、自衛隊の任務拡大、改憲論議が具体化するなど、国民の意思に反して日本の平和と民主主義の危機が深まった年でもありました。

 こうした情勢のもとで、損保の再編「合理化」情勢第二幕は引き続き深まっています。損保各社は、自動車保険の収支改善を中心に業績は好調に推移しています。しかし、各経営は、国内市場の縮小、大手グループを中心とする熾烈なマーケットシェア争い、大規模自然災害の増加に加え、今後予想されるIT化・技術革新に伴うビジネスモデルの変化をはじめとする事業環境の先行き不透明さなどから、企業規模の大小を問わず、危機感や焦燥感を隠そうとしていません。そうしたことから、引き続き安定的な保険本業における収益の拡大をめざし、「収益力の強化」と「合理化・効率化」の動きを一切緩めていません。そのもとで「改革」、「革新」などとしてすすめられる各種施策は、損保の職場に多様な「歪み」をふりまき、働く仲間の雇用や生活と労働条件を脅かし、働きがいの喪失と「不安」が蔓延する職場をつくりだしています。

 このようななか迎えた2017年は、何よりも国民や働くものの声や願いが優先される1年にしていかなければなりません。そのためにも、いまが国民・労働者の声と力で情勢が変えられる歴史的転換点であることに確信をもち、いのちとくらし、平和と民主主義を守るため、働くものが声をあげ、労働組合をいかして運動をすすめていくことが求められる1年になります。

 今年も全損保では、企業や職場の枠を越えて集まれる産業別単一組織という良さをいかし、組合員が「集まって、語り合って、励まし合う」とりくみを軸に運動をすすめていきます。不透明な情勢を見定め、損保に働く仲間の声や思いから、真に健全な損保産業と職場を取り戻し、働くものの生活と雇用、労働条件を守るため、運動を前進させていきます。私も、この労働組合の先頭に立ち、“人間の視点”、“働くものの視点”を大切に、奮闘していく決意です。





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