11月21日(土)、浅草橋区民館会議室で賃金討論集会が開催されました。この集会は、例年、春闘のスタートにあたって、各支部・独立分会が抱える課題を意見交換し、春闘構築に向けた意思統一のために行われています。集会には、全損保各組織の賃金対策部を中心に友好労組である大同火災労組、損保料率機構労組の代表者も含め36名の組合役員が参加しました。
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講演をおこなう熊谷氏 (労働運動総合研究所代表理事)
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能登原本部賃対部副部長(朝日支部)の進行で始まった集会は、まず「春闘をめぐる情勢と前進のカギを握る産別・全国統一闘争」と題し、労働運動総合研究所代表理事である熊谷金道氏から講演を受けました。
講演では、まず春闘に向けて「厳しい」と言われる情勢について、アメリカの大統領選挙やイギリスのEU離脱の経過を説明したうえで、「新自由主義による経済運営で自国の経済が停滞する状況を生んでいること」がその背景にあるとして、大企業だけが儲かり、所得の格差が増大している問題点を指摘しました。
日本においても同様に、「アベノミクス」による金融経済の行き詰まり、社会保障の改悪などから、消費や経済が委縮し、大多数の国民が経済の恩恵を受けていない状況を各種数値から説明しました。こうしたなかで、労働組合が賃金を引き上げるために本気でたたかうことの重要性を訴え、フランスやドイツの産別のたたかいを紹介したうえで、「賃上げは労働者の最も切実な要求」、「労働組合は要求で団結する組織」であることを強調しました。
2017年春闘構築にあたっては、@要求討議を本気になって練り上げる=「切実な要求、譲れない要求、これがたたかいの出発点」、A労働者は団結してたたかわないと勝てない=「資本主義は経営側が圧倒的な力を持っているから、労働法がありスト権がある」、B損保に働く人全体に見える要求を=運動で励ますたたかいが必要、C国民的共同=春闘共闘への結集、の4点をあげました。
最後に、「要求を取れるか取れないかだけで決めてしまうと相手の手のひらの上でたたかうことになってしまう。自分たちの生活実態から『これしかない』という要求をたててたたかって欲しい」と全損保春闘へのエールを送りました。
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要求討議のすすめ方を提起する 山本賃対部長
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続いて、山本本部賃対部長(共栄支部)が「2017年春闘構築に向けて、要求討議のすすめ方」を提起しました。そのなかで、各支部の努力で築いた2016年春闘の成果と到達点を確認しました。2017年春闘構築に向けては、「業績は好調に推移しているが、各経営は、先行き不透明な事業環境から危機感や焦燥感を隠そうとしておらず、厳しい姿勢は変わらないことが想定される。職場には、合理化・効率化政策がストレートに下ろされ、生活と雇用、労働条件が脅かされている。そうしたなか、2017年春闘は切実な実態や思いと経営の思惑がぶつかりあうたたかいとなる。したがって、これまでの春闘の到達点と課題をふまえ、産業別単一組織としての力量を発揮し、統一闘争を構築していこう」と呼びかけました。引き続き、共栄支部、日新支部、朝日支部から2016年春闘の成果や到達点、職場の状況とその背景にある経営政策が報告されました。
3支部からの報告
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大島さん(共栄)
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長塚さん(日新)
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能登原さん(朝日)
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分散会で率直に意見交換
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その後、3班に分かれて分散会がおこなわれました。分散会では、講演を受けての感想と全体情勢に対する意見を出し合ったうえで、各社の経営政策や職場における問題点、これまでの春闘や人事制度改定におけるとりくみ、「働き方改革」などに関し、率直に悩みや意見が出され、情報の共有がはかられました。
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討論をまとめる佐藤賃対部副部長
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分散会終了後、まとめの全体会がおこなわれ、それぞれの友好労組からあいさつを受けました。最後に、佐藤本部賃対部副部長(損保ジャパン支部)が討論のまとめをおこない、「講演や賃対部提起で全体情勢への認識が深められ、各支部の報告と分散会で、春闘構築に向けた職場状況や生じている矛盾や悩みも出され、ていねいな要求論議の重要性が確認された。具体的な要求論議はこれからだが、熊谷さんの話にもあったとおり、組合員には『賃金要求へのこだわり』があるのは間違いない。そのことをどう要求にいかすかがカギになる。働く仲間を視野に2017年春闘を構築していこう」と2017年春闘構築のスタートを呼びかけ討論集会を閉会しました。
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