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新年のごあいさつ “働くものの視点”を大切に
2016年1月 全損保中央執行委員長 浦上 義人
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昨年は、異次元の金融緩和策による株高・円高局面が続き、大企業の業績は好調に推移しました。しかし、その利益は内部留保のさらなる蓄積と海外でのM&A資金とされる一方で、輸入価格と物価の上昇は中小零細企業の経営や家計を圧迫しています。さらには、労働者派遣法の改悪に続いて労基法の改悪も目論まれるなど労働者をとりまく環境も大きく変化しています。そして、多くの国民が反対の声をあげるなか安保法制が強行成立され、日本の平和と民主主義の危機が深まった年でもありました。
こうした情勢のもとで、損保の再編「合理化」情勢は引き続き深まっています。損保各社は、自動車保険の収支改善を中心に、大手社をはじめ中堅社も業績は好調となっています。さらに大手グループでは、海外事業で収益を拡大させ、過去最高の利益を計上しました。しかし、国内市場の縮小など将来に向かって事業環境が不透明なことから、各経営の危機感は止んでおらず、「収益力の強化」と「合理化・効率化」の動きを一切緩めていません。そうしたなかで、国内での顧客囲い込みによるマーケットシェアを競い合う過当競争が激化しています。そして、「働き方の改革」をすすめながら、職場に雇用不安を与える「希望退職募集」をも活用した人員削減を押しすすめています。このような競争は、企業規模の大小を問わず、働くものの生活と雇用、労働条件を脅かしています。この効率化は募集網にも影響を与え、事務処理が煩雑になり、手数料ポイントも経営政策遂行の具とされています。そして、収支構造のさらなる改善のために、保険料の引き上げ、引受規制の強化をすすめていることから、顧客にも大きな影響を与えています。要員が不足する職場では、「お客さまのために」と思って業務にあたっていますが、「そうなっていない」と思わざるを得ない矛盾や不安も生じています。 このようななか迎えた2016年は、何よりも国民や働くものの声や願いが優先される1年にしていかなければなりません。そのためにも、いまが国民・労働者の声と力で情勢が変えられる歴史的転換点であることに確信をもち、いのちとくらし、平和と民主主義を守るため、働くものが声をあげ、労働組合をいかして運動をすすめていくことが求められる1年になります。 今年も全損保では、企業や職場の枠を越えて集まれる産業別単一組織という良さを発揮し、組合員が「集って、語り合って、励まし合う」とりくみを軸に運動をすすめていきます。不透明な情勢を見定め、損保に働く仲間の声や思いから、真に健全な損保産業と職場を取り戻し、働くものの生活と雇用、労働条件を守るため、運動を前進させていきます。私も、この労働組合の先頭に立ち、“人間の視点”、“働くものの視点”を大切に、奮闘していく決意です。
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