《鑑定書の主なポイント》
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管理会計は法的な規制の下で公的性格を有する財務会計と違って、経営政策を検討する私的な会計である。適用する数値も検討目的に沿って検討者の裁量で変えることができるものであり、管理会計に基づく結論を労働者や株主や消費者などステークホルダーに強いることはできず、裁判所はこれを基準にして判断すべきではない。
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A |
保険の販売は、外勤社員制度と代理店制度がある。いずれも対面販売であり、高度の専門性があり、保険事業の中枢の位置を占める。保険営業の専門性を否定することは保険事業の自己否定になる。
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B |
外勤社員制度をとるか、代理店制度をとるかは、それぞれの会社が経営政策として採用した経緯によって異なるもの。東京海上日動社が、合併後に外勤社員制度廃止を打ち出したのは、代理店中心の販売への一元化をはかる施策選択の問題にすぎない。
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C |
現に日動火災では、創業時から外勤社員制度を採用し「募集網の主柱」とし、極めて良好な経営を持続していた。事業費の費差損を巨額に積算し、固定的で不可避とすることは、これまでの経営実態に反し、説明できない。
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D |
契約者と国民との信頼の回復、保険事業の将来のためにも、外勤社員の利益が擁護されるべきである。たんに、当該原告の利益にとどまるものではない。社会に密着する基本に立ち返ることによってこそ、保険事業の威信とリーディングカンパニーとしての輝きをとりもどし、社会に負託に応えることになる。日本の保険事業の未来にとってもつ意味も大きい。
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