秋のたたかいを意気高くとりくむ決議 |
ウクライナ危機による穀物やエネルギーの供給不足と物流の滞りは長期化し、世界各国での物価高は続いています。その対策として各国ですすめられる急激な金利引上げは、為替・株式市場を不安定にし、景気後退リスクを高め、世界経済の成長見通しが3年連続で下降するなど、市民生活に暗い影を落としています。日本では、これに円安も加わって、大企業の内部留保が過去最高を更新する一方で、歴史的な物価高が家計を直撃し、春闘における賃上げを経てもなお実質賃金が目減りし、個人消費が停滞するなど、国民にはかつてない将来不安が広がっています。 こうしたなか岸田政権がすすめてきた政治は、厳しい生活を強いられる国民・労働者を救い不安を払拭するものとはなっていません。2024年度予算においても、定額減税や低所得者世帯への給付など「物価高対策」は全体歳出の2割にとどまり、公共事業や防衛予算などの「国家強靭化」へ3割以上を支出するなど、国民の期待に応えていません。 今後も、国民の思いに反してすすめられる政治に対する抗議の声や行動を労働組合・民主団体から市民へ広げ、いまを変える歴史的な変化を現実のものとしていかなければなりません。国民の声や思いが重視され、いのちや暮らしを守り、この国の平和と民主主義が大切にされる「次の時代」を手にする力は、私たちの声と行動です。 損保では、大手社を中心にすすめてきた「収益力の強化」をめざした政策が、「保険料の事前調整」、「保険金の不正請求」、「情報漏洩」という問題を引き起こし、金融庁から業務改善命令が出され、消費者からの信頼を失う事態となっています。加えて、不透明な経済情勢、スピードが求められるデジタル化への対応など、事業環境の先行きに対する損保経営の危機感は強まっています。金融庁の指導もあってマーケットシェア重視の見直しを迫られていますが、「収益力の強化」をめざす姿勢は変わらず、労働生産性の追求や「合理化・効率化」を具体化する施策がすすめられ、職場には「歪み」がふりまかれています。こうした政策の歪みや矛盾は、働くものの生活と雇用、労働条件を脅かし、職場には働きがいの喪失と「不安」が蔓延しています。健全な損保産業の明日、働きがいのある職場や生活の改善を実現させていくためには、そこに働くものの声と思いから運動をすすめていくことが重要です。 新年度私たちは、長い歴史のなかで実践してきた運動に加え、コロナ禍でも知恵と工夫を凝らしてすすめてきた運動の成果を土台に、リモートなどを活用し組合員との接点を可能な限りとりながら、「人が集まって語り合う」場の大切さを忘れずに、この労働組合への結集をはかり、産業別単一組織の良さをもつ「全損保らしさ」をいかして運動を前進させていきます。そのスタートに秋のたたかいを位置付け、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○損保産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、3本の柱でとりくみをすすめます。働くものの生活と雇用、労働条件を守り抜き、国民的課題にもとりくむ決意をあらためて固め、秋のたたかいを意気高くとりくむことをここに決議します。 |
2024年9月18日 全損保第90回定期全国大会 |
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