春闘宣言 |
新型コロナウイルス感染症の拡大は、いまだ収束のめどが立っていません。各国ではロックダウンや夜間外出禁止などが継続され人の移動が厳しく制限されています。最新の世界経済見通しでは、実質成長率をマイナス4.3%と見込み、第二次世界大戦後で最悪の景気後退となっています。 日本でも同様に、上場企業の9月期決算では、純利益の合計額が前年同期比で38%減となり、鉄鋼、造船などの6業種が全体で赤字となりました。そして、11月以降の第三波到来によって、感染者が再び急増したことから、1月7日に緊急事態宣言が発出され、現段階においても宣言は解除されていません。こうしたことから、経済指標はさらに落ち込むことが見通されており、“コロナ倒産”や“コロナ解雇”が増加するなか、国民にはかつてない将来不安が広がっています。 しかし、「国民のために働く内閣」を強調する菅政権の新型コロナ対策は、経済対策の継続にこだわったことから、後手に回り国民の不安に応えてはいません。さらには、日本学術会議会員の任命拒否、総務省の接待疑惑などが国会で追及されるなど、国民の不信を増加させています。 こうしたなか政府は経団連に対し、「雇用を確保しながら経済の好循環に向け、マクロの視点で賃上げの流れを継続してほしい」と賃上げ要請を行いました。これに対し経団連は、コロナ禍で業績がまばらなことを理由に、「横並びの賃金引上げは現実的ではない」と指摘し、収益増大の企業でもベースアップは「選択肢」との姿勢にとどめています。 損保では、大規模自然災害による保険金の増加、再保険料率の上昇などによって、保険本業の収支は悪化しており、今後はコロナ禍による世界的な経済停滞が業績に負の影響を与えることも懸念されています。さらには、既存市場の縮小、技術革新に伴うビジネスモデルの変化など、事業環境の先行きがさらに不透明となっていることから、損保経営の危機感は、企業規模の大小を問わず依然として強くなっています。そのもとで、大手グループは、国内での徹底した顧客囲い込みを通じてマーケットシェアを競い合い、M&Aを通じた海外事業や新規事業領域での収益拡大をめざしています。中小社もこうした競争に巻き込まれ、各社の政策すべてが「収益力の強化」をめざしたものとなり、「合理化・効率化」、労働生産性を追求する動きも強まっています。また、コロナ禍の対応として、出社人数を制限するための在宅勤務などテレワークが推進されていますが、その環境整備は追いついておらず個々人に様々な負荷がかかっていることが実態調査で明らかになりました。こうした労働生産性の追求やコロナ禍を契機とした働き方の急変、「合理化・効率化」を具体化する施策がすすめられていく過程で、損保の職場には「歪み」が様々なかたちでふりまかれ、働くものの雇用や生活、権利、労働条件が脅かされています。こうした「歪み」が押しつけられる職場には、「働きと処遇」の矛盾に悩み、心身ともに疲弊する実態があります。そして、「将来不安」ややり場の無い不満が充満しています。私たちがとりくんだアンケートには、数多くの疑問や怒りの声、処遇、労働条件を「一歩でも改善してほしい」という切実な思いが語られ、賃金水準の引き上げへの期待と要求がいっそう高まっていることが明らかになりました。そして、経営も政策実現をめざすうえで、労働者の真摯な主張には耳を傾けざるを得ないことに変わりはありません。 私たちは、2021年春闘を、「‘コロナ’にも負けず、組合員すべての力を結集し、職場からともにたたかう」としたスローガンのもと、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、の3本を柱にたたかいます。コロナ禍においても、確信をもって、「賃金水準の引き上げ」をはじめ、いま最も求められる要求と課題を掲げ、全損保統一闘争に結集し、知恵と工夫で主張と団結を強め、全力でたたかいます。 本日確立された春闘方針のもと、諸要求実現のため、職場で、地域で、機関と職場が一体となって2021年春闘勝利にむけたたかうことをここに宣言します。 |
2021年3月17日 全損保第83回定期全国大会 |
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