春闘宣言

 世界経済は、全体として成長軌道上にあるといえ、過去の成長局面と比べ低成長です。中長期的には、アメリカの経済政策の動向、イギリスのEU離脱交渉の先行き、「自国第一主義」の台頭や世界各地で見られる地政学的リスクの高まりなど、様々な不安定要素を抱えその先行きは不透明な状況が続いています。
 日本でも、外需中心の一部大企業では業績が好調となっていますが、世界経済の動向によってその先行きは不安定な状況となっています。日銀がすすめる異次元の金融緩和とマイナス金利政策も多くの課題を抱え、金融政策の行き詰まりは明らかです。5年におよぶ「アベノミクス」により、一部の大企業は莫大な利益を享受してきましたが、中小零細企業にその恩恵は乏しく、増税や社会保障費の負担増に加え、実質賃金が伸びないことから、将来不安が高まり個人消費が停滞する状況を生むなど、国民・労働者には景気が回復しているという実感はありません。
 こうしたなか、政府が財界に対して「賃上げ」要請を始めて5年目となる今春闘では、「3%の賃上げを期待する」と具体的な数字に言及しました。これを受けて財界は「賃上げは社会的要請」、「3%を意識するよう会員企業に求める」としていますが、一方で「月例でも年収でも容認」としており、賃上げに対する姿勢は強いものではありません。
 損保では、大手グループをはじめ中堅社も業績は好調に推移しており、昨年度と比べて「減益」を見込む通期決算でも一定規模の黒字を確保する見通しとなっています。それでもなお、国内市場の縮小や自然災害の大規模化と多発、不安定な経済動向、マイナス金利政策の影響に加え、IT化や技術革新に伴うビジネスモデルへの対応が求められていることなど、事業環境が先行き不透明なことを理由に、企業規模の大小を問わず、各経営の危機感は依然として強くなっています。大手グループ経営は、その危機感を職場に喧伝しながら、国内でのマーケットシェア競争を激化させつつ、海外事業や新規事業領域での収益拡大をめざしています。中小社もこうした競争に巻き込まれていることから、各社の政策すべてが収益力の強化をめざしたものとなっており、事務効率など企業としての生産性向上を求めています。そのもとで、損保に働くものの処遇や働き方が見直され、「労働生産性」を追求する動きも強まっており、外資における雇用攻撃にも通じています。そうした会社政策の歪みや矛盾は、すべての損保労働者に押しつけられ、生活や労働条件を脅かし、働きがいと産業の社会的役割の喪失を生んでいます。
 こうした実態に対して、職場からは、不安や不満、疑問や怒りの声が数多く出され、処遇、労働条件を「一歩でも改善してほしい」という切実な思いとともに、賃金水準の引き上げへの期待は高まっています。一方経営も、政策実現をめざすうえで、労働者の真摯な主張には耳を傾けざるを得なくなっています。
 私たちは、このような情勢と職場の現実を直視し、2018年春闘を、「全損保統一闘争のもと、職場からいまをただし、共感を広げたたかう」としたスローガンのもと、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、の3本を柱にたたかいます。支部・独立分会は、「賃金水準の引き上げ」を柱とした、いま最も求められる要求と課題を掲げ、全損保統一闘争のもとで、その実現のために全力でたたかいます。そのために「交流・共同の場」を一つでも多く築き、地域の仲間が「集まって、語り合って、励まし合う」とりくみをすすめます。また、国民的課題にも視野を広げ、多くの労働者と連帯し、平和で民主的に暮らせる国をめざしたとりくみをすすめます。
 本日確立された春闘方針のもと、諸要求実現のため、職場で、地域で、機関と職場が一体となって2018年春闘勝利にむけたたかうことをここに宣言します。  


2018年3月14日
全損保第77回定期全国大会



このページのTOPへ