春闘宣言 |
世界経済の成長は極めて弱く、加えてトランプ政権の経済政策の行方、イギリスのEU離脱、「自国第一主義」の台頭や新興国経済のさらなる悪化など、様々な不安定要素を抱えその先行きの不透明さは深まっています。日本でも、揺れ動く市場動向の影響を受け、株価や為替は乱高下を繰り返し、日銀がすすめる異次元の金融緩和とマイナス金利政策も限界が指摘されており、好調だった大企業の業績にも影響を与えています。こうしたなか、物価上昇と低水準の賃上げを要因に実質賃金は目減りし続け、消費も低迷しています。このように安倍政権がすすめてきた経済政策は、一部の大企業には利益をもたらしましたが、企業間格差、所得格差を拡大させ、増税や社会保障費の負担感が増大するなど、国民の将来不安を生み、景気回復を実感できるものとはなっていません。 こうしたなか、自らの経済政策を最優先にすすめてきた政府は、財界に対し4年連続となる「賃上げ」を要請しています。財界はそれに応じる形で「年収ベースでの賃上げ」を会員企業に求めていますが、「過去3年のベースアップで土台は上がった」と労働組合をけん制し、「賃上げ」に対して慎重な姿勢をとっています。一方で、政府と歩調を合わせ、「働き方改革」への対応を前面に打ち出すなど、財界が要望する労働者づくりも狙っています。しかし、このような景気回復の実感を持てない経済政策や「企業利益優先」の財界の姿勢に対する国民・労働者の怒りは高まっています。 損保では、大手グループをはじめ中堅社も業績は好調に推移しています。海外事業における収益の拡大、自然災害による保険金支払いの減少、自動車保険の収支改善などを要因に、通期決算でも一定規模の黒字を確保する見通しとなっています。それでもなお、国内市場の縮小や自然災害の大規模化と多発、不安定な経済動向、マイナス金利政策の影響に加え、今後想定されるIT化・技術革新に伴うビジネスモデルの変化など、事業環境が先行き不透明なことから、企業の大小を問わず、各経営の危機感は依然として強く、安定的な利益の確保に向けて経営計画の達成を最優先に、「収益力の強化」や「合理化・効率化」の動きを一切緩めていません。そのもとで、損保に働くものの処遇や働き方が見直され、「労働生産性」を追求する動きも強まっています。そうした会社政策の歪みや矛盾は、すべての損保労働者に押しつけられ、生活や労働条件を脅かし、働きがいと産業の社会的役割の喪失を生んでいます。 こうした実態に対して、職場では、不安や不満、疑問や怒りの声が数多く出され、処遇、労働条件を「一歩でも改善してほしい」という切実な思いとともに、賃金水準の引き上げへの期待は高まっています。一方経営も、政策実現をめざすうえで、労働者の真摯な主張には耳を傾けざるを得なくなっています。 私たちは、このような情勢と職場の現実を直視し、2017年春闘を、「全損保統一闘争のもと、職場からいまをただし、共感を広げたたかう」としたスローガンのもと、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、の3本を柱にたたかいます。支部・独立分会は、「賃金水準の引き上げ」を柱とした、いま最も求められる要求と課題を掲げ、全損保統一闘争のもとで、その実現のために全力でたたかいます。そのために「交流・共同の場」を一つでも多く築き、地域の仲間が「集まって、語り合って、励まし合う」とりくみをすすめます。また、国民的課題にも視野を広げ、多くの労働者と連帯し、平和で民主的に暮らせる国をめざしたとりくみをすすめます。 本日確立された春闘方針のもと、諸要求・諸課題実現のため、職場で、地域で、機関と職場が一体となって2017年春闘勝利にむけたたかうことをここに宣言します。 |
2017年3月15日 全損保第75回定期全国大会 |
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