秋のたたかいを意気高くとりくむ決議

 世界経済は、いまだ多くの課題を抱え「危機再燃」も危惧されており、先行きは不透明となっています。日本では、安倍政権が進めてきた異次元の金融緩和策による円安、株高の進行により、大企業・製造業は莫大な利益を計上していますが、その「実り」は中小企業や地域経済には波及していません。このことは、2015年春闘で、大企業ではベースアップが回答される一方で、中小企業で賃上げがなされないという結果に表れ、国民・労働者の期待には程遠いものとなりました。加えて、消費税増税や物価上昇が国民の暮らしに大きな影響を与えています。こうしたなかでも財界は、資本の溜め込みと大規模なリストラ「合理化」を押しすすめており、国民・労働者や、地域経済に重大な犠牲と痛みを押しつけています。

 さらに安倍政権は、財界、アメリカの要望を入れ、「世界で一番企業が活動しやすい国」をめざして、雇用破壊とも言える労働者派遣法の改悪を成立させ、「残業代ゼロ法案」などの労働法制改悪も強行しようとしています。そして、何よりも、国民の5割以上が反対し、多くの学者や識者が「違憲」との見解を発表している安保関連法案の成立を目論んでいます。私たちは、こうした国民主権を軽視し、日本の平和と民主主義を破壊する「暴走政治」を許すことはできません。

 損保産業では、保険本業の業績回復もあって大手グループをはじめ中堅社も業績は好調に推移しています。しかし、国内市場の縮小など将来に向かって事業環境が不透明なことから、経営の危機感は止んでいません。そのもとで進められる再編「合理化」の具体化は、働くものの生活と雇用、労働条件を脅かし、働きがいの喪失と「不安」が蔓延する職場をつくりだしています。

 こうしたなか、安保法制や労働法制改悪に「反対」する抗議の行動は、国会周辺から全国各地へ、労働組合・民主団体から主婦や学生層を中心とした市民へ広がり、いまを変える歴史的な変化が現実のものとなりつつあります。国民が大切にされる「次の時代」を手にする力は、国民・労働者の声です。同様に、健全な損保産業の明日や、働きがいのある仕事や生活も、そこに働くものの声と思いから運動をすすめていくことで実現します。

 2016年度、私たちは、激変する情勢に向き合い、視野広く国民的課題にもとりくむなかで、損保に働くものの声と実態を主張し、企業や職場をこえて集まることができる産業別単一組織の良さをもつ全損保という労働組合をいかす努力を重ねていきます。そのためにも、「運動、組織、財政の見直し」の到達点を土台に運動を前進させていきます。そのスタートに秋のたたかいを位置付け、〇雇用と人間らしく働ける職場を守る、〇損保産業の社会的役割を守る、〇人間を大切にする労働組合として奮闘する、3本の柱でとりくみをすすめます。働くものの生活と雇用、労働条件を守り抜き、国民的課題にもとりくむ決意をあらためて固め、この労働組合に結集し、秋のたたかいを意気高くとりくむことをここに決議します。

2015年9月16日
全損保第72回定期全国大会



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