春闘宣言

 拡散する欧州債務問題によって世界経済危機はさらに先行き不透明に深まり、日本経済も低迷が続くもとで、財界は、春闘さえも自らの危機突破の場として、定期昇給をも否定し、居丈高に労働者の処遇の切り下げを叫んでいます。莫大な内部留保を抱えてもなお、収益拡大を競い、労働者や中小企業への犠牲転嫁で危機を突破しようという大企業の身勝手さは、この国の経済をますます閉塞させるばかりです。一刻も早い東日本大震災からの復旧・復興、原発事故の収束、景気回復など、安心した暮らしを願う国民に対し、政治は、増税や社会保障の改悪など、国民へ負担を押しつけようとしています。しかし、この危機は、同時に「歴史的転換点」でもあり、今、ここには、国民・労働者の声でこの国を変えていくのか、従来通りの路線をすすんでいくのか、この国の未来を争うせめぎあいがあります。
 こうしたなか、損保においても、各経営はかつてない危機感を募らせ、再編「合理化」情勢第二幕がいっそう深まっています。各社は、国内市場の縮小、損害率の高騰、大規模自然災害の発生、資産運用環境の悪化などにより、収益を圧迫され、その規模の大小を問わず、収益の確保と収益力の強化に突きすすみ、さらなる合理化・効率化を押しすすめようとしています。これは、損保産業を歪め、社会的役割の喪失につながりかねないものです。現に、この「歪み」の影響は、将来への不安、生活・労働実態の悪化、誇りと働きがいの喪失、メンタルヘルス関連の疾患の増加として、アンケートや調査の数値にはっきり表れています。そして、全損保がとりくんでいる「一人一言」には、こうした現状を変え、確かな明日を手にしたいという思いと主張が満ち溢れています。
 私たちは、このような情勢と職場の現実を直視し、2012年春闘を、「『一人一言』を力に、職場からたたかう」というスローガンのもと、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、の3本の柱でたたかいをすすめます。支部・独立分会は、いま最も求められている要求と課題を掲げ、統一闘争のもとで、その実現のため全力でたたかいます。地協は、「交流・共同の場」を一つでも多く築き、地域の仲間が「集まって、語り合って、励まし合う」とりくみをすすめます。「一人一言」運動をさらに広げながら、広く労働者の連帯に加わり、平和と民主主義を守るとりくみをすすめます。
 本日確立された春闘方針のもと、諸要求・諸課題実現のため、職場で、地域で、機関と職場が一体となって、2012年春闘を意気高くたたかうことをここに宣言します。


2012年3月14日
全損保 第91回中央委員会



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