2009年春闘アピール
激動から展望の針路を見通し
労働組合の役割を発揮する

組合員のみなさん
 「100年に一度」、「大恐慌以来」といわれる未曽有の「危機」が、世界中を覆っています。この「危機」は、過去の行き詰まりを「新自由主義」で突破し、グローバル化の名で各国に規制緩和・市場開放を迫り、金融肥大化のもとで空前の「繁栄」を遂げた「アメリカ金融帝国」が瓦解したものです。瓦解の過程は、世界の人々にあまりにも大きな犠牲をおしつけ、なお、止んでいません。巨額の公的資金を注ぐ各国政府の「乗り切り」策も、大金融機関、大企業を延命しながら、巨大なツケを先送りし、「危機」をいっそう複雑に深化させています。しかし、この「危機」は「新自由主義」の誤りを白日の下にさらし、世界経済の多極化を背景に、新たな経済の枠組みへの潮流が台頭しています。ここに、各国の思惑、大資本の利潤追求の欲望が錯綜し、不安に乗じた戦争やテロも起き、その先行きは混迷の度を増しています。
 日本もこの只中におかれています。世界的な「危機」は「構造改革」で自律的回復力を失った日本経済を直撃し、国民労働者の生活に深刻な影を落としています。しかし、大企業のあまりに身勝手な「乗り切り」策、貧困な政治状況に対し、国民労働者の怒りがかつてなく高まり、「構造改革」路線に立って「危機」突破を狙う政府・財界の動きとぶつかりあうものとなっています。
 いま、私たちは、経験したことがない「危機」の深化と、明日を巡る激しいせめぎあいが同時に進行する、歴史的な激動情勢のもとにおかれています。私たちが指摘したように、「明日変わる時代」は現時味を帯びるものとなっていますが、人類は、この激動の中で、大きな困難を抱え、展望への針路をどう見出すか、その英知が問われています。


組合員のみなさん
 私たちが働く損保産業も、この激動の中で揺り動かされています。「規模と収益力を競う競争」、「強きもの」も「弱きもの」も危機を宿らせると指摘した新たな競争=「資格競争」は、その本質が露呈し、早くも行き詰まっています。金融危機の直撃、海外事業の不透明感、国内マーケットの収縮という事態に直面した損保経営は、「危機感」にとらわれ、「やらなかったこと、やれなかったこと」に手をかける衝動をかつてなく強めています。昨年末に報じられた三井住友ホールディングス社、あいおい損保社、ニッセイ同和社の経営統合は、事の真偽はともかく、損保経営の焦燥を示すものといえ、「何がおきてもおかしくない」情勢を加速させかねません。現実となれば、想定を超えた大きさで、再編「合理化」情勢の第2幕がはじまるとみなければなりません。
 このもとにおかれた職場は、「資格競争」の本質に日々肌身で触れ、乱暴な政策実現を通じて経営の焦燥もストレートに伝わるものとなっています。これに加え、再編「合理化」情勢の深まりが自らの生活と雇用、労働条件に重大な影響を与えることを、働く者は誰もが想起しています。「労働の高密度化と長時間化」、「労働の質の悪化と疲弊の広がり」、「見えない展望と将来不安の増大」が一体で深まる職場には将来展望を求める声が急速に高まっています。


組合員のみなさん
 2009年春闘は、かつて経験したことがない激動情勢のもとでのたたかいになります。私たちは、この春闘を、この激動から展望の針路を見通し、労働組合の役割を発揮するたたかいとして、とりくみをすすめます。「危機」の深化のもとで、働く者の生活と雇用、労働条件を守る最も求められるたたかいを構築し、同時に、産業、企業、職場の「展望」を切りひらくために全力をあげます。そして、その前進の鍵は、機関と職場が、急速な情勢変化の前に固く結びつき、一人ひとりが、いかに声をあげ、行動するかにかかっています。


 「激動から展望の針路を見通し、労働組合の役割を発揮する」…産業と職場、一人ひとりの生活のいまと明日のため、この春闘に確信をもち、ともにとりくみをすすめましょう。


2009年1月17日
全損保支部地協代表者会議




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