春闘宣言


 いま、損保に、新たな競争がはじまっています。この競争は「金融・資本市場競争力強化プラン」が描く国際的な市場間競争への資格競争でもあり、ここで語られる“健全性”とは「競い合い」の徹底であり、強者のための“健全性”です。その本質は、規模と効率化の「競い合い」にほかならず、ここに、すべての損保労働者が駆り立てられています。職場には、割り切れない思いと疲弊、長時間過密労働をはじめとした深刻な実態悪化が広がっており、将来不安は増す一方となっています。この先に見えるものは、社会的役割と無縁な苛烈な生き残り競争であり、そこに産業と職場の真の展望を見出すことはできません。
 しかし、私たちは、明日が変わる時代を迎えています。抗いがたいと思えた「構造改革」は、末期症状とも言える矛盾を露呈し、参議院選挙で示された国民の異議の前で、路線転換を巡るせめぎあいが続いています。世界を見ても、「サブプライム問題」を通じて、アメリカ一国に利益が集中するグローバル経済の根本的な問題が明らかとなり、「ドルの時代の終焉」まで唱えられる事態となっています。私たちが「新しい時代」と呼んだ、「国や資本が、過去の政策の行き詰まりや将来の危機を、もたらす被害や矛盾の大きさを承知で突破をはかり、大掛かりに個の主張や権利を圧迫していく」時代は、その被害や矛盾があまりにも大きく、誰の目にも明らかになったいま、明日が変わる時代へと変化をはじめているのです。
 これは損保産業にとっても同じことです。「不払い、取り過ぎ問題」は、「自由化」以降の競争激化が産業の社会的役割を奪った事実を誰の目にも明らかにしました。新たな競争がやみくもにすすめば、不信の消えない国民・消費者の眼前で、産業の基盤を掘り崩すこの競争の様相が、早晩、明らかとなるはずです。産業の真に「健全」な発展をみすえ、人間らしい働きを求め、損保労働の働きがいを追求し、声をあげることができる、確固たる働く者の存在があれば、その主張と運動は、広く社会の声と結びつき、損保の明日は必ず変わるはずです。
だからこそ、私たちは、「労働組合こそ確信 労働組合こそ展望 働く者の存在示し この春闘をたたかおう」のスローガンを掲げ、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、を3本の柱として、2008年春闘にとりくみます。このもとで、各支部・地協がたたかう統一闘争、新たな競争の歪みをただす産業民主化の運動、裁判闘争が山場を迎え大きな前進が求められる日動外勤支部のたたかいなど、諸要求、諸課題実現のために幅広く主張と運動をすすめていきます。
 本日確立された春闘方針のもと、職場で、地域で、機関が一体となって、2008年春闘を意気高くたたかうことをここに宣言します。


2008年3月12日
全日本損害保険労働組合
第87回中央委員会




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