2008春闘アピール
労働組合こそ確信 労働組合こそ展望
働く者の存在示し、この春闘をたたかおう

損保にはじまる新たな競争
強者のための“健全性”に展望は描けない
 組合員のみなさん
 損保産業にいま、新たな競争がはじまっています。それは、「お客様第一」を掲げて「会社改革」をすすめ、経営体質の強化やサービス向上を競い合い、成長力・収益力の拡大を手にしていこうというものです。このもとで、損保全体で、保険金支払いの何重ものチェック、「意向確認書」の取り付け、「募集網の質の向上」など、多岐に亘る「メニュー」に対応が迫られています。しかし、これらは、「不払い、取り過ぎ問題」の結果として一から考え出されたものではありません。その原形や方向性は、いずれも金融システム全体に市場原理を徹底するために検討され、これが、「不払い、取り過ぎ問題」を通じて損保に持ち込まれたものです。そしていま、「金融・資本市場競争力強化プラン」が打ち出され、損保産業もまた、激化する国際的な市場間競争に投げ込まれようとしています。それは、欧米と肩を並べる金融・資本市場をつくるだけでなく、業態を越えて、あらゆる金融機関を競争に駆り立て、動員しようというものです。ここでいう“健全性”とは、その「競い合い」の徹底であり、いわば強者のための“健全性”です。損保の新たな競争とはその「資格競争」であり、「会社改革」の「メニュー」とは、一面では損保の社会的役割を保証するものですが、それと同義ではなく、「競い合い」のバーであることがその本質です。ここに「生活と労働条件に関するアンケート」に映された損保に働く者の割り切れない思いと疲弊の所在があります。

混迷深まる「改革」の針路
せめぎあいは続いている
 組合員のみなさん
 この国の経済も、「構造改革」がすすむ中で変質し、不透明感が増しています。大企業に「利益の寡占化」がすすむ一方で、ワーキング・プアー、地域経済の深刻な格差と衰退、企業のモラルハザードなどが広がり、自律的に景気が回復しないという事態が生まれています。しかも、アメリカと一体でグローバル競争に生き残ろうという「構造改革」の針路に赤信号が灯っています。ユーロ経済圏やBRICs諸国の台頭を背に深刻化する「サブプライム問題」は、アメリカの経済モデルを狂わせ、ドルの基軸通貨体制はいよいよ揺るぎはじめているのです。それにもかかわらず財界は、なおも「希望の国」が来ると言い立て、政府を動かして「構造改革」をいっそう強化し、身勝手な乗り切りをはかろうとしています。これと一体で「軍事大国化」も進められ、憲法改悪も虎視耽々と狙われています。
 しかし、国民は、昨年の参議院選挙で「構造改革」、「軍事大国化」に主権を発動して異議を唱え、そのせめぎあいはなお続いています。国民の声と力は、「大連立」に歯止めをかけ、一時とはいえ有史以来初めて「軍隊」を海外から撤退させ、薬害肝炎問題や沖縄教科書問題などで前進を手にしています。今後、政府・財界が、この「袋小路」を突破しようとしても、その方向は変えられることを国民は実体験から学んでいます。私たちはいま、明日が変わる時代を迎えているのです。
 これは、私たちの産業にとっても同じことです。国民・消費者には、「不払い、取り過ぎ問題」を通じ、社会的役割を喪失した損保産業への怒りと不信が強く残されています。いま、はじまっている新たな競争も、真の「健全性」を保証するものではなく、その矛盾は、早晩、誰の目にも明らかになるはずです。真の「健全性」をみすえた働く者の確固たる存在があり、国民・消費者の力と結びつけば、損保産業の明日は必ず変わります。

明日変わる時代に、みんなの力をあわせよう
 組合員のみなさん
 明日が変わる時代。私たちの力をあわせることが、明日を変える力となります。その拠り所となる労働組合こそ確信と展望の基盤です。その認識に立って、私たちは、2008年春闘を、次のようにたたかいます。
新たな競争のもとで、情勢と経営の動向を直視し、働く者の思いが凝縮した要求を掲げ、その存在をあらゆる形で示し、視野広く主張を展開する春闘をすすめ、機関と職場が一体で要求実現をめざす
これまでの主張と運動に確信をもって努力を重ね、強者のための“健全性”ではなく、真の「健全性」が実現する損保産業の明日をめざす
山場を迎える日動外勤のたたかいの全面勝利解決をめざし、全力でとりくむ
 労働組合こそ確信 労働組合こそ展望。働く者の存在を示し、この春闘をたたかおうではありませんか。


2008年1月19日
全損保支部地協代表者会議




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