弁護団声明 |
1.本日おこなわれた第10回和解において 、和解が打ち切られて、判決手続きに入ることになった。 昨年6月からはじまった和解に際して、提訴団及び弁護団は、四半世紀に及ぶ長期争議となっている本件を一刻も早く解決するために相当程度の妥協も含めた解決案を提示するなどして努力してきた。 昨年7月12日の第2回和解期日において、裁判所から和解に際しての基本的枠組みとして、以下の三点の説明がなされた。 ア.一審判決主文の内容を具体化して経済的問題を主軸とする。 イ.差別救済の始期は昭和63年度とし、命令は平成3年度までであるが、現在までの全面的な解決を見通す。 ウ.補助参加人らのうち在籍者については同期同年に遅れないように是正する。 朝日火災の争議については、裁判所や労働委員会においてこれまで幾度となく会社の不当労働行為を断罪する判断が下されており、白黒は誰の目にも明らかではあるが、今後も紛争が長期化すれば、約半数となった在籍者の退職時期も迫っており、賃金差別が退職までに解決されなければ、退職後も失業手当金や厚生年金額にも反映することなどから、速やかに解決するため、上記枠組が確保されるのであれば、相当程度の妥協もやむなしと判断したのである。 2.ところが、2月14日に裁判所から示された和解案の骨子は提訴団・弁護団の期待を裏切るものであった。 裁判所案は和解不成立の場合、公表しないこととしたので、その内容を明らかにすることはできないが、それは、提訴団の妥協した解決案とあまりにかけ離れているというだけではなく、裁判所が自ら示した基本的枠組みからも逸脱したもので、どう見ても差別を固定化・温存するものとしか言えない内容のものであった。 在籍者の職能資格・等級ならびに是正について、提訴団は、同期同年入社の標準者より譲歩した是正を求めたが、裁判所案はこれさえも大幅に下回るものであり、不当労働行為による差別を固定化する意味合いを強く持つものと評価されるものであった。 また、裁判所の示した解決金額は、提訴団の譲歩案と比較してもその15%にすぎず、20年余に及ぶ期間の闘争費用程度にすぎないものであった。裁判所案は「たたかったものは損を甘受せよ」というに等しく到底納得できるものではなかった。 3.提訴団及び弁護団は、すみやかな高裁判決を求めるとともに、会社の緊急不履行に対する制裁を要求し、かつ、朝日火災経営者に対して、裁判所での和解の不成立にかかわらず本件争議を速やかに解決することを求めて、今後とも奮闘するものである。 2003年3月14日
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