要求討議のスタートに位置づけ賃金討論集会を開催


2020年春闘構築にむけて情勢認識を深め
意思統一


春闘構築のスタートに位置付けた賃金討論集会
春闘構築のスタートに位置付けた賃金討論集会


 11月23日、東京で賃金討論集会を開催しました。この集会は、例年、春闘のスタートにあたって、とりまく情勢への認識を一致させ、各支部・独立分会が抱える課題を共有し合い、春闘構築のスタートの場に位置づけおこなっています。集会には、全損保各組織の賃金対策部を中心に友好労組である大同火災労組、損保料率機構労組の代表者も含め27名が参加しました。

講演の熊谷金道氏(労働運動総合研究所代表理事)
講演の熊谷金道氏
(労働運動総合研究所
代表理事)


 田中常任中執の進行で始まった集会は、まず「賃上げが生活を改善し、日本経済を持続可能な発展へ〜2020年春闘前進への期待と課題〜」と題し、労働運動総合研究所代表理事である熊谷金道氏から講演を受けました。  講演では、20年前の1997年との対比で、先進国で唯一賃金が下がる一方、大企業の内部留保が増え続け史上最高となっている日本経済の実態を、「企業利益は3倍、株主配当金は6倍にもなっているなかで、給与や消費は減少しており、経済がいびつになっている」と強調しました。そのうえで、30年前に起こった労働戦線再編と賃金を抑え込む財界の姿勢、賃金闘争におけるストライキの激減など労働組合のたたかいの歴史について、各種資料からていねいに説明されました。また、現在の学校で労働組合法や労働基準法など働く者の権利に対する教育がされず、労働組合の組織率が年々減少している状況から、労働者の権利としての団結権やストライキに対する国民の意識が希薄になってきているとし、「だからこそ目に見える活動が重要であり、春闘で要求を掲げてたたかう必要がある」と強調しました。そして、「人間らしく文化的に生きていくための安定した賃金が必要」であるとして、賃金闘争前段の徹底した要求論議の重要性を訴えました。最後に、「経済活動は人が営むものであり、人間がいて社会があり会社がある。労働者のたたかいには大儀があり、正義がある。損保は賃上げできる余力のある産業であり、自信と確信をもって要求を作り上げて欲しい」と職場での徹底した要求論議を呼びかけました。

提起する西田賃対部長
提起する
西田賃対部長


 続いて、西田本部賃対部長(共栄支部)が「2020年春闘構築に向けて、要求討議のすすめ方」を提起しました。そのなかで、各支部・独立分会の努力で築いた2019年春闘の成果と到達点を確認しました。2020年春闘構築に向けては、「損保では、産業のありようが不確かであり、経営は環境がどのように変化しても生産性の向上と収益の拡大がはかれる体制を求めている。そうしたなか、大規模自然災害も多発しており、保険支払額が急増し異常危険準備金が激減していることから、春闘においては経営の厳しい出方が想定されている。一方で、災害対応など頑張りが求められている職場の不満、期待、要求は強まっており、経営の厳しい出方と強い要求がぶつかり合う春闘となる。後ほどの分散会ではこれまでの到達点や教訓を確認し合い、全損保統一闘争への認識一致をはかって欲しい」と積極的な討論を呼びかけました。引き続き、共栄支部、日新支部、楽天損保支部から2019年春闘の経過と到達点、2020年春闘にむけた課題や職場状況、その背景にある経営政策が報告されました。

山本さん(共栄支部) 梶谷さん(日新支部) 石綿さん(楽天損保支部)
山本さん
(共栄支部)

梶谷さん
(日新支部)

石綿さん
(楽天損保支部)

 その後、2班に分かれて分散会が行われました。分散会では、講演を受けての感想と全体情勢に対する意見を出し合ったうえで、各社の経営政策や職場における問題点、これまでの春闘や各種制度改定におけるとりくみなどに関し、率直に悩みや意見が出され、情報の共有がはかられました。

閉会の佐藤賃対部副部長
閉会の
佐藤賃対部副部長


 分散会終了後、まとめの全体会がおこなわれ、友好労組からあいさつを受けました。最後に、佐藤本部賃対部副部長(損保ジャパン支部)が閉会のあいさつに立ち、「講演では、統一闘争前段の問題としての労働者が置かれた状況を各種資料も併せて確認することができた。また、分散会では様々な意見交換がされ、組合員の意識を取り戻すことの重要性や情報も共有できたと思う。今日の討論集会の内容を持ち帰って執行部で共有し、働く者一人ひとりの悩みをていねいにひろいあげて、解決するために要求を掲げ、友好労組とも情報を交換しながら、要求が実現できる春闘をめざして今日をスタートに全損保統一の春闘を構築していこう」と2020年春闘構築のスタートを呼びかけ賃金討論集会を閉会しました。


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