「働き方改革」による法改正の具体内容と
損保の職場に与える影響を考える


4・17春闘決起中央集会に44名が参加


春闘勝利にむけて認識一致をはかった中央集会
春闘勝利にむけて認識一致をはかった中央集会


 4月17日(水)、東京で、「4・17春闘決起中央集会〜『働き方改革』による法改正の具体内容と損保の職場に与える影響を考える〜」を開催し、12支部・独立分会から44名が参加しました。

講演する加藤先生
講演する加藤先生


 本集会は、2019年春闘における全損保統一行動週間のメイン行事に位置づけ、学習テーマとして、「働き方改革」によって改正された労働基準法と省令などの具体内容を学び、損保の職場に与える影響、労働組合として今後どのようにとりくみ役割をはたしていくのかについて講演を受け、質疑応答をおこないました。

 講師には、全損保の顧問弁護士事務所である東京法律事務所の加藤健次弁護士をお招きし、テーマにそって法律家の立場で問題指摘をいただきました。
 「企業のための『働かせ方』ではなく、『働きやすい』職場をめざして」と題した加藤先生の講演は、冒頭、世界的に見ても長い日本の労働時間と4割を超える非正規労働者など、日本において労働者が置かれている状況が説明されました。そのうえで、「多様な働き方」、「労働時間ではなく成果で」とされる「改革」の本当の狙いに対する問題指摘がなされ、「何よりも労働時間の短縮が必要であり、そのためには、労働時間を規定する要因=業務量、人員、賃金(単価)の改善が急務である」とし、労働組合の時間短縮に向けた運動の必要性を訴えました。
 そして、今回の法改正の内容について説明し、罰則付き労働時間の(残業時間)の上限規制、勤務間インターバルの導入、雇用形態による不合理な差別的待遇の是正など、不十分とはいえ活用できる法と制度の改正についても説明されました。
 その後、「時間外労働の上限規制」、「労働時間の客観的な把握と健康対策」、「勤務間インターバル制度の導入の実現を」、「年次有給休暇の取得促進」などの具体的な内容を厚生労働省が発行しているパンフレットを活用し、損保の職場への影響や活用できる点について詳しく説明されました。また、労働時間規制から除外される労働者を生み出す「高度プロフェッショナル制度」の導入については、労使委員会や本人同意の義務化など、使用者が導入するにあたっていくつもの「ハードル」があるとし、「本人と労働組合が反対すれば導入できないしばりがある。これ以上の規制撤廃・緩和を許してはいけない」と強調しました。
 さらには、現行でも「疑似『裁量労働制』」が問題となっていることを、損保ジャパン日本興亜社や野村不動産での事例などを紹介し、「大事なことは、業務遂行の手段や方法、時間配分について、対象とする労働者にその裁量があるのか、という視点で見れば現在対象となっている人のほとんどがそうではないことが分かるはず」とし、裁量労働を拡大させないためにも労働組合がはたす役割は大きいと強調しました。
 最後に、「8時間働いてまともに暮らせる社会を。“おかしいから導入させない。という運動が求められており、期待はある。全損保にはそうした運動をすすめて『働きやすい』職場をめざしたとりくみを期待している」と全損保へのエールを送りました。

集会をまとめる浦上委員長
集会をまとめる浦上委員長


 その後、参加者から損保の職場実態を照らした質疑がおこなわれた後、閉会に立った浦上委員長は、「加藤先生の講演で改正内容や問題点とともに、労働組合がどのような視点でとりくんでいくのかが明らかになった。端的に言えば、『実態がどうなっているのか』を検証し、『不利益変更は認めない』という認識を機関役員が持ち職場に広げていくことが大切だということ。これ以上労働実態を悪化させず、逆に法改正で使える部分を改善にいかしていこう」と呼びかけ、「春闘もこれからが本番。災害対応など労働実態が悪化しているなかで、職場には賃金引上げに対する期待は強まっている。春闘スローガンのとおり、期待と要求をかなえるために、みんなでたたかい、みんなで成果を勝ちとろう」と自主交渉打切日に向けて各支部・独立分会の奮闘を呼びかけ集会を終了しました。


参加者の感想から
「働き方改革」についても、全く理解していなかったため、今までは労働者を守る改革なのだろうと思っていました。今回の講演を聞いて、企業のための「働かせ方」となってしまうことがあると知ってびっくりしました。「過労死」に関しても自分たちとは関係のないところでのことという認識がありましたが、そうではなく、しっかりと考えていかないと身近に起こることなのだと分かりました。企業の自由にさせないために、労働組合が目を光らせて改革の内容をしっかりと理解しないといけないのだと思いました。自分たちを守るためには、他人事ではなく、しっかりと勉強しないといけないのだと思いました。
「働き方改革」について詳細な説明をいただき、まさに「働かせ方改革」との内容が理解できました。一方で損保の職場において、昨今の大災害時の残業時間の増大等、現実に起きている点こそ労働組合の考え方にも応用できる点など、強く感じる点を多く教えていただきました。
「8時間労働」という原点の話からはじめてもらって良かったです。久しぶりにそこに意識が戻りました。
日頃働いていると「これが普通」と思う(思わされる)が、実は“おかしいこと”が多々あると感じました。「あの会議に出なければいけないから休めない」とか、「1日中仕事の事だけ考えていないと真面目な社員でない」とか。人間らしい生活をして、それなりの賃金をもらえるのが最高の要求だと思うので、これを実現したい。
今回の「働き方改革」について非常に勉強になりました。特に、内容の解説のみでなく、労働組合としての視点からもコメントをいただけたのが個人的に有意義に感じられました。今現在、経営との間で起きている問題(認識している問題)だけでなく、今後の法改正に関連して、経営がどのような提案をしてくるかを予想することも大事なのだと改めて感じました。




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