労働組合の役割を発揮し、仲間の声を土台にすべての運動を前進させよう


全国大会で2017年度運動方針を確立



秋のたたかいにむけて団結ガンバロー
秋のたたかいにむけて団結ガンバロー


  9月21日、東京都千代田区にあるエデュカス東京で、全損保第74回定期全国大会が開催されました。大会は、議長に渡邊君(朝日)を選任した後、全労連議長・国民春闘共闘代表幹事の小田川義和氏、全国金融共闘事務局長・全証労協事務局長の金子正史氏、保険共済労組懇談会を代表して生保労連中央副書記長の日下部大樹氏、友好労組から大同火災労働組合書記長の中村幸喜氏、損保料率算出機構労働組合委員長の江ア悠士氏の来賓のあいさつを受け、一般経過報告・採決をおこなった後、議案審議に入りました。

議長を務めた渡邊君(朝日支部)
議長を務めた渡邊君
(朝日支部)
 2017年度運動方針の提案は、中央執行委員会を代表して浦上委員長がおこないました。提案では、世界経済の成長が鈍化するなか、イギリスのEU離脱問題、アメリカの利上げ政策の行方、中国や新興国経済の減速、金融市場の動揺による株価や各国通貨の変動など抱える課題が悪化することで新たな「危機」が生じる懸念など、極めて不透明な状況を説明しました。そのうえで、異次元の金融緩和による株高、円安効果が薄れ、マイナス金利政策の影響が生じている日本経済の状況について、「『景気を浮揚させる』としてすすめてきた安倍政権の経済政策は、一部の巨大企業を『儲けさせる』だけで、国民・労働や中小零細企業には“負の影響”を与えている」と指摘し、増税と物価高に追いつかない賃上げ、浮揚しない消費動向、非正規雇用者の増大など、国民・労働者、中小企業には痛みが押しつけられている状況を説明しました。
 また、政治状況では、財界・アメリカの要望を入れ、あらゆる分野で規制改革をすすめ、大企業が「儲けることができる」環境整備をすすめていることを指摘し、特に、労働分野の改革について、「働き方改革」として非正規雇用者の賃金引き上げや長時間労働の是正を検討する一方で、対象層を拡大させる「企画業務型裁量労働制」の見直し、労働基準法にうたわれた労働時間や割増賃金などの適用から一切除外される「高度プロフェッショナル制度」や「解雇の金銭解決制度」の導入が目論まれているとし、「これまで労働者を守ってきた規制を撤廃するものであり、財界にとって『使い勝手のいい』労働者をつくる仕組みづくりに他ならない」と問題意識を強調しました。

浦上委員長が2017年度運動方針を提案
浦上委員長が2017年度運動方針を提案
 さらには、衆参両院の憲法審査会で憲法改正の議論がすすめられる状況を説明し、「憲法はすべての法律の根幹をなすものであり、どの条文であれ変えることとなれば、日本という国そのものの姿・形が変わることになる」とし、平和憲法に背き「戦争ができる国」に突き進む姿の危険性を訴えました。一方で、多くの市民が「反対」の声をあげ行動が広がっていることを紹介し、「こうした動きは、いまを変える歴史的な変化が現実のものとなっていることの表れ」とし、自らの声と力を強めていく必要性を強調しました。
 損保情勢では、大手グループをはじめ中小社も業績が好調となっている状況を説明したうえで、顧客囲い込みによるマーケットシェア競い合い、グループ内再編や事業費削減による効率化、海外事業を拡大する大手経営の姿勢などにふれ、「こうした競争は中堅社も巻き込み、業界全体の過当競争が激化する懸念がある」として、損保再編「合理化」情勢第二幕の深まりと収益力強化を徹底している各社政策を説明しました。そして、こうした政策は、「ヒト、モノ、カネ」を削るものであると指摘し、そのすすめ方もこれまで以上にスピードをあげ、乱暴となっていくことから、働くものの「不安」が増大し、社会的役割の喪失と働くものの被害が増す危惧を訴えました。
 そして、「本来の社会的役割に立脚した損保産業に再生できるのは、日々疑問を持ちながら働いている損保労働者だけである」として、職場の仲間が疑問を声に出し、労働組合がその声を土台に主張していくことが、産業、企業、職場を健全にさせていく唯一の道であることを訴えました。
 そのうえで、「運動、組織、財政の見直し」によって、地協組織の廃止という課題を乗り越え、各支部・独立分会が支え合いながら産業別単一組織のよさと機能、これまで果たしてきた役割と築いてきた到達点を後退させず運動をすすめてきた1年を振り返り、その成果を強調しました。そして、「これからも、『人を大切にする労働組合』として、この国、産業、職場、平和と民主主義を守るために、この労働組合をいかして、働くものの真の拠り所として、働くものの立場から、『生活と雇用、労働条件を守る』という原点にたちかえって運動をすすめていこう」と呼びかけました。

 この提案を受け、中執、代議員計30名が発言しました。発言は、マーケットシェアを競い合う過当競争や効率化政策がもたらす職場の被害が報告されるとともに、2016年春闘、地域での「交流・共同の場」、平和と民主主義を守る運動、外勤部、独立分会、女性のつどい、サマージャンボリーなどでの前進面が報告されました。そして、地域で「組合員が集まり語り合う」ことの大切さが確信となりました。

 討論のまとめを荒木書記長がおこなった後、2017年度運動方針以下すべての議案を全会一致で確立し、「秋のたたかいを意気高くとりくむ決議」、大会スローガンの採択、新年度役員を選出し、新たな年度の運動をスタートしました。

討論まとめをおこなう荒木書記長 すべての議案を全会一致で確立
討論まとめをおこなう
荒木書記長
すべての議案を全会一致で確立



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