新年のご挨拶

知恵と力を集め、再生への努力を重ねよう

2007年1月 全損保中央執行委員長 吉田 有秀

 損害保険業界が厳しい社会的批判を浴びる中、新しい年を迎えました。全損保は、昨年11月にホームページ上で発表したパンフレット「損保産業・再生の視点」で、「不払い問題」の原因の全体像と責任の所在を明らかにし、産業が社会性・公共性を果たす真の「健全性」を取りもどすための5つの視点を提示しました。すべての損保関係者に、この視点に知恵と力を集め、再生への努力を重ねようと呼びかけています。
 いま、最も問われていることは、1998年に幕を開けた損保「自由化」のありかたです。私たちは、その直後、「『自由化』は、損保産業の思想や基盤を破壊し、秩序なき競争が支配する産業へ力づくで変質させるもの」と指摘し、無秩序な料率競争の中止、新商品の乱開発・乱売競争の歯止め、損害保険制度の秩序を守るために必要な共通のルール・基盤を維持することなど、12項目の緊急要求の実現を、金融行政や各経営等多方面に求めました。しかし、「自由化」=消費者利便論の奔流の中で、これらの要求は受け入れられず、競争は激化の一途をたどりました。その産物が、損保の最も基本的な役割である「保険金支払」という機能が損なわれるという今日の事態です。
 「損保産業・再生の視点」には、私たちの、これまでの主張と運動、労働組合の役割への確信が込められています。2007年春闘の重点課題として、損保再生のための運動に力を尽くしていく所存です。

正念場の日動外勤のたたかい
 東京海上日動社による外勤社員制度廃止問題も、年明け早々、最大の山場を迎えます。会社は、4月には、制度廃止を前提に人事異動を発令し、命令に従わなければ解雇を検討すると明言しています。外勤社員は内勤社員と異なり、解雇となれば顧客を奪われ、後日、復職してもゼロからのスタートになってしまいます。外勤社員としての地位確認請求訴訟は1月12日に結審します。会社は、ただちに解決を決断すべきです。
 当初は921人いた外勤社員は、現在68名(全損保組合員51名)となりました。会社は制度廃止後、あたかも雇用は保証するように述べていましたが、裁判の中で、「代理店転進」を強力に勧奨せよと指示するメールが明らかになるなど、外勤社員をいかに社外に放逐しようとしていたか、が明確になりました。収益改善のために平然と雇用に手をかける姿勢は断じて認められません。

一人ひとりのため、力をあわせよう
 職場はいま、「保険金不払い問題」、「火災保険料適用問題」への対応で喧騒と混乱の只中にあります。社会的信頼の回復のための努力は当然のことですが、次から次へと折り重なる対応策に、職場の疲弊感は高まる一方です。金融行政は、自らの責任を不問に、損保「自由化」そのものは推し進めようとしており、今後に向け、さらに大きな「歪み」が、働くもの一人ひとりに押し付けられていく大きな懸念があります。損保産業が真の「健全性」を取りもどすには、社会的役割発揮にふさわしい、展望が持てる職場の実現を追求していくことが不可欠です。
 また、教育基本法強行採決にみられるように、平和と民主主義を揺るがす動静も目が離せません。ホワイトカラーエグゼンプションの導入など労働法制改悪の動きも急を告げています。知らずにいれば、黙っていれば、一人ひとりの幸福が描けない時代を迎えています。
 産業、職場、そして一人ひとりのため、何を主張し、どんなことができるか。その答を、この労働組合でみつけ、ともに力を合わせる1年としていきましょう。



このページのTOPへ