日動外勤のたたかい

180人が法廷に
ますます明らか 東京海上日動の身勝手さ

11月、日動外勤のたたかいが大きく前進しています。

加藤弁護士 平井弁護士 牛久保弁護士
傍聴者180人で大法廷埋める
 11月13、20日の両日は、外勤社員としての地位確認を求める裁判で証拠調べの手続として、組合側、会社側の証人尋問が行われました。とりわけ、大法廷で行われた20日には、共栄火災の外勤組合員をはじめ、全損保各支部、日動外勤OBなど180人が詰めかけ、熱気溢れる証人尋問となりました。また、この日、とりくみを進めている「裁判所宛要請団体署名」の2度目の提出を行いました。

裁判は重要な山場に
 この裁判の争点は下表のとおりです。組合側はこれまでも準備書面や書証の提出により主張を固めてきましたが、この証拠調べは判決につながる重要な山場となりました。

裁判の争点
これまでの歴史や、募集の際の説明や文書から外勤社員は会社の命令で職種変更ができない職種であることは明らか。会社は人事異動の命令で職種変更は可能だとしている。
制度廃止となっても、会社は「代理店転進」、「職種を変えた継続雇用」の選択ができるというが、雇用や仕事、労働条件で外勤社員に生涯にわたり著しい不利益が押し付けられる。会社はそのような不利益はないとしている。
制度廃止は労働者の雇用や労働条件を破壊するのだから労使協議・合意が当然必要となる。会社は、制度廃止は経営の専権事項だから一方的な通知で足りると言い張っている。
会社のスケジュールでは、4月に制度廃止を前提とした人事異動が発令され、5月からは外勤社員としての仕事はできなくなる。そして、会社は異動命令に従わなければ「解雇を検討」すると明言。そうなれば、外勤社員は生活の糧である顧客を失い、仮にあとで復帰できても、ゼロからのスタートとなるのでとりかえしがつかない。このような事態を避けるため、この問題は、事前に判決が必要となるが、会社は、権利関係が確定する制度廃止後に提訴すればよいとしている。


11/13 組合側証人尋問  制度廃止の狙い明らかに
裁判所前でアピール(11/13)

裁判終了後、報告と意思統一(11/13)
 13日は組合側証人として、全損保吉田委員長、日動外勤支部佐藤委員長、現職の外勤社員を代表して組合員の浅川さん、竹田さん、奥田さんが証言に立ちました。
 吉田証人は、担当の今井弁護士、板倉弁護士に尋問に答え、外勤社員制度廃止の狙いや問題の全体像が事実を通じて明らかにしました。会社は、「職種を変更した継続雇用」があるから雇用保証されるなどと言っていますが、証言を通じて、会社が外勤社員を追い出そうと強力に「勧奨」してきたこと、仮に「職種を変更した継続雇用」となっても一生涯にわたり耐え難い不利益が押し付けられることが、あらためて明確になりました。
 佐藤証人は、加藤弁護士の尋問に答え、外勤社員は職種変更のない職種であることや、会社が制度廃止を有無を言わせず押し付けてきた乱暴な態度が明らかになりました。
 浅川さん(牛久保弁護士)、竹田さん(久保田弁護士)、奥田さん(富本弁護士)の証言では、それぞれ、地域に密着しながらお客様との関係を築き、家族を守るために必死で契約を増やし、守ってきた外勤社員としての人生が赤裸々に語られました。会社側の反対尋問は、それぞれが語る事実と道理がはねかえしました。




11/20 会社側証人尋問  外勤社員切捨ての意図が鮮明に
報告集会は会場いっぱいに埋め尽くされた(11/20)

 20日は会社側証人として人事企画部次長兼企画・組織グループリーダー露口泰介氏が証言に立ちました。会社側代理人は、職種変更は可能であること、外勤社員の収入保険料は年々減っており代理店が主流となっていること、社内の収益管理の手法である「管理会計」上、費差指数が悪く廃止は当然であること、「代理店」や「職種を変えた継続雇用」となって不利益は生じないことなどを立証しようとしました。
 しかし、常識を欠いた証言も多く、傍聴者が首をかしげ、失笑を買う場面も多くありました。例えば、外勤社員が、パートナーズ代理店の募集人に出向すれば(職種を変えた継続雇用先)、現在3,500万の収入保険料を2倍の7,000万にすることは可能と言いきるなど、到底、理解できないものもありました。
日動外勤支部佐藤委員長の決意表明(11/20)
 その証言のおかしさは、組合側の反対尋問を通じていよいよはっきりしたものとなりました。会社は、制度廃止は突然ではなく、提案以前に「RA専門部会」なる場で外勤社員制度のありかたを検討していたと述べましたが、その場で論議された問題の改善策は何ひとつ実施されず、いきなり制度廃止を行ってきた事実が明らかになりました。また、制度廃止の口実にしてきた「管理会計」上の費差損は、外勤社員が68名となったいま、大幅に改善している事実は認めましたが、外勤社員制度がある以上、あくまで廃止するという異様な態度も明らかになりました。
 さらに、主尋問では、募集案内や研修資料に外勤社員は職種限定と明記されていても、入社後には職種変更は可能であるという認識で作成されたという論理を展開しましたが、裁判官に「それは当時の関係者に確認したのか」と質問されて答えに窮し、憶測に基づく発言であることが明らかになりました。
 尋問が進むにつれて、会社側証人はうつむき加減となり、傍聴者からは「証言に自信がないことを本人の後姿が物語っていた」という感想さえありました。
 最後に吉田委員長が補充尋問に立ち、「会社の政策は、制度廃止先にありきで、外勤社員を代理店として会社から放逐しようというもの。解雇となればとりかえしがつかない。RAの仲間を助けてほしい」と証言し、証拠調べは終了しました。裁判終了後は、弁護士会館で報告集会を行い、今後のたたかいへの意思統一をはかりました。


運動も大きく前進

 11月に入り、運動も大きく前進しています。

外勤部統一行動で団地ビラ
決起集会で団結ガンバロー(11/11)

 11日には全損保外勤部(あいおい外勤支部、富士支部、共栄支部、日動外勤支部)が統一行動を行い、東京地協とともに、100名の仲間が、光ヶ丘団地などの「団地ビラ」にとりくみました。あいにくの雨模様でしたが、全員団結し、1日で20,000枚を配布しました。終了後は、決起集会を開催。あいさつに立った各支部の代表は「日動外勤の問題は外勤社員全体の問題」と口々に語り、たたかいの先頭に立つ意思統一を行いました。



11/17 全労連、金融共闘の仲間と終日行動
旗が林立する東京海上日動本社前(11/17)

司会から紹介され、あいさつに立つ
全労連事務局次長渡辺さん (写真右側)
東証ドーム前の集会(11/17)

早朝ビラ 会社にはガードマンがたくさん(11/17)

 17日は、全国金融共闘が地域の仲間による「国民犠牲の金融政策をやめさせ、地域経済と暮らし、雇用を守る共同行動」にとりくまれました。
 当日は、全労連争議支援総行動と結合し、各争議の抗議行動に参加しながら、全体の力も得て、東京海上日動社に対する諸行動を進めました。午後からは、AIGスター生命(嘱託社員雇止め事件)、日産センチュリー証券(組合役員解雇事件)、東京海上日動本社前と金融関連の抗議行動が展開され、数多くの旗が林立しました。

金融庁へ要請を行う(11/17)

 また、全国金融共闘として金融庁に要請に訪れ、東京海上日動社の制度廃止問題を含め、争議の解決を指導するよう求めました。金融庁は、個別の労使問題には立ち入れないと述べたため、外勤社員制度廃止は、2004年の金融庁の行政処分(一部の外勤社員の不祥事を全体の問題に拡大し、外勤社員制度の抜本的見直しを命じたもの)が密接に結びついていることを指摘し、対応を強く求めました。金融庁は、この命令後、フォローアップをしていると述べたため、指導力を発揮してもらいたいと念を押しました。

要請団に門前で対応する会社(11/17)

11/17 都労委は結審へ
 17日は、東京都労働委員会では、組合活動の差別の是正を求める不当労働行為救済命令申立事件での調査期日となり、和解の可能性について、労使双方の事情聴取が行われました。
 まず、会社から事情聴取が行われましたが、会社は従来の「回答」(不当労働行為救済命令申立でまさに争われているものと同内容)以上に踏み込もうとせず、和解を拒否しました。これでは組合として検討のしようもなく、命令となれば早期に手続を進めてもらえるよう強く要望しました。

東京地協は街頭宣伝 大阪にはかたせる会
東京地協街頭宣伝(新橋)

徳島でも行動が行われた

 地協の運動も前進しています。東京地協は、毎週水曜日に都内主要駅頭で宣伝行動を実施。毎週、地協各分会からかけつけた仲間と日動外勤支部組合員が力をあわせて行動しています。ビラの反応はよく、道行く人が「私は東京海上日動の契約者だけど、こんな会社とは知らなかった」、「何か協力できることはないか」など語りかけてきたり、本部に激励の電話が入ったりしています。東京地協では、この宣伝行動に加え、団地ビラも計画しています。
 大阪では、10日、「関西 日動外勤をかたせる会」を結成。トワイライト御堂筋デモを行い、注目を集めました。この他にも、日動外勤の組合員が一人しかいない福井や徳島などで行動するなど、運動の輪は確実に広がっています。

12・8共同総行動に参加を
 12月8日(金)には、「東京海上日動、日産センリュリー証券、AIGスター生命 3つの金融争議の解決をめざす 12・8共同総行動」がとりくまれます。当日は、共同して、早朝から終日行動にとりくみます。東京海上日動に対するとりくみでは、早朝宣伝、12:20からの本社前抗議行動があり、夕方6:30からは「丸の内RING・RINGデモ」を行います(丸の内仲通農林中金ビル前集合)。
 たたかいは正念場を迎えています。皆さんの参加が勝利を手にする大きな力となります。お忙しい年末ですが、行動に振るってご参加下さい。



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