春闘宣言

 今年1月、支部独立分会代表者会議を経て、損保各社が、自然災害の多発化・甚大化、技術革新とその活用の本格化、ビジネスモデルの変化など、事業環境の不透明さによって、損保産業の明日が不確かな時代に、それを乗り切り、将来にも向けて、本業における収益を安定的に拡大し続けるための基盤づくりに躍起となり、「収益力の強化」と「生産性の追求」、「合理化・効率化」の動きを一切緩めようとしないなか、その頑張りと役割発揮を求められる職場で、高まる組合員の期待と要求を受け、全損保、各支部・独立分会は、2020年春闘方針案および要求案を策定し、職場に提起しました。
 しかし、同月、中国から始まった「新型コロナウイルス感染症」の拡大は続き、3月11日にはWHO(世界保健機関)が「パンデミック(世界的な大流行)」を宣言、世界各国で感染者数は増加し、欧米を中心に「都市封鎖(ロックダウン)」が行われ、経済活動が停止する事態となっています。4月13日には、世界全体の感染者は180万人、死者は11万人を超え(米ジョンズ・ホプキンス大学集計)、ILO(国際労働機関)は、世界の労働人口の約38%にあたる12億5千万人が「レイオフ(一時解雇)や給与削減のリスクに直面している」との報告書を発表、世界経済は、世界恐慌以来最悪、戦後最大の危機、そして人類の危機とまで言われ、市民の生活と雇用が危機にさらされる事態ともなっています。
 日本でも、3月19日には政府専門家会議が、‘密閉’‘密集’‘密接’の3条件が同時に重なる場(3密)を避けるよう、不要不急の外出自粛を要請、3月24日には東京五輪の延期が決定され、4月7日には安倍首相が「オーバーシュート(爆発的患者急増)の瀬戸際」として、5月6日までの1ヵ月間、東京など7都府県を対象に、改正特別措置法(新型コロナウイルス特措法)に基づく緊急事態宣言を初めて発令しました。こうしたことから、3月の政府月例経済報告では、基調判断は大幅に下方修正されて「厳しい状況にある」、同月の日銀短観では、業況判断指数(DI)が大企業・製造業で7年ぶりにマイナス、「景気ウオッチャー調査」(4/8内閣府発表)では‘14.2’と、大きく下落し、景気が悪いと判断される‘50’を大きく下回るなど、景気は急激に落ち込んでいます。
 こうした事態と政府・自治体の要請を受けて、「人との接触を最低7割、極力8割減らす」よう、損保各社でも3密を避けるとともに、出社する従業員数を最小限とし、集会や会議の中止、在宅勤務・自宅待機による交代勤務、また営業・損害サービスを中心とする原則、訪問・対面業務の中止など、感染防止対策を徹底・強化しています。そして、事業環境がますます不透明さと厳しさを増し、業績への影響も避けられないであろうことから、損保各経営はますます危機感を募らせることにもなります。そのため、今春闘において、各経営が、春闘どころではないなどと、想定していた以上に厳しい姿勢・出方となることは、十分考えられます。
 一方、全損保、各支部・独立分会も、第81回定期全国大会および各とりくみの中止や、春闘スケジュール・すすめ方の大幅な見直しをせざるをえないことにもなりました。また、各支部・独立分会、職場では、感染防止対策として「3密を避ける」「必要最小限の出社」が徹底され、「人が集まる」とりくみが制限されることとなり、要求実現に向けて欠かすことのできない、“意思結集”“団結”が困難な状況ともなっています。しかし、こうした状況において、損保に働くものには、その社会的な役割発揮と、頑張りが求められ、職場の大変切実な実態、非常に強い思いと声はますます強まることになります。そのもとで、2020年春闘と私たちの切実な要求の重さは変わりなく、むしろ大きくなっています。そして、経営には、このようなかつて経験したことのない事態に直面しているからこそ、政策実現をめざすうえで、労働者の真摯な主張には耳を傾け、労働者とともにこの事態を乗り越えていく覚悟が求められます。
 私たちは、全損保統一闘争のもと、スローガン「70年の歩みをとめず、職場からたたかい期待と要求をかなえる」を掲げ、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、の3本を柱に、直面する情勢に怯むことなく、もたらされる事態を精緻に見定め、知恵を絞り汗をかき、工夫を凝らしながらたたかいを構築し、「賃金水準の引き上げ」をはじめとする私たちの大事な要求の実現に向けて、各級機関が先頭に立って、組合員一人ひとりの意識をより強く高く結集して全力でたたかいます。
 本日確立された春闘方針のもと、諸要求実現のため、職場で、地域で、機関と職場が一体となって、2020年春闘勝利にむけたたかうことをここに宣言します。  

2020年4月15日
全損保第9回中央闘争委員会



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