秋のたたかいを意気高くとりくむ決議

 世界経済は、いまだ多くの課題を抱え新たな「危機」が生じる懸念も強まるなど、その先行きの不透明さは増しています。日本でも、揺れ動く世界市場の動向を受け、株価や為替は不安定な状況となっています。そして、日銀がすすめる異次元の金融緩和とマイナス金利政策も限界が指摘され、各企業の業績にも影響を与えています。さらには、物価上昇と低水準の賃上げを要因に実質賃金は上昇せず、低迷する消費と企業間格差、所得格差の拡大が国民の将来不安を増大させており、景気回復を実感することができません。
 こうしたなか安倍政権は、経済指標が好調であることを強調し、財界、アメリカの要望を受けた成長戦略を押しすすめ、労働者の働き方を経済政策の一環として変えようとする「働き方改革関連法」を強い反対の声を無視する形で成立させました。さらには、特定秘密保護法、安保関連法、「共謀罪」法を次々と強行成立させ、改憲に強い意欲を示すなど、「戦争ができる国」へ突きすすむ姿に、多くの国民が危機感を持っています。
 こうした危機感は、安保関連法や労働法制改悪に反対する抗議の行動を国会周辺から全国各地へ、労働組合・民主団体から主婦や学生層を中心とした市民へ広げ、いまを変える歴史的な変化を現実のものとしつつあります。国民の声や思いが重視され、いのちや暮らし、この国の平和と民主主義が大事にされる「次の時代」を手にする力は、私たちの声と行動です。
 損保では、自動車保険の収支が改善するなど、大手グループをはじめ中小社も業績は好調に推移しています。しかし、事業環境の不透明さを理由に、企業規模の大小を問わず、損保経営の危機感は依然として強くなっています。そのもとで大手グループはマーケットシェア競争を激化させ、中小社もそこに巻き込まれていることから、各社の政策すべてが収益力の強化をめざしたものとなっています。こうした政策は、働くものの生活と雇用、労働条件を脅かし、働きがいの喪失と「不安」が蔓延する職場をつくりだしています。健全な損保産業の明日や、働きがいのある仕事や生活も、そこに働くものの声と思いから運動をすすめていくことで実現します。
 2019年11月5日、全損保は結成70周年を迎えます。新年度、私たちは、70年間で実践してきた運動を土台に、先行き不透明に深まる情勢に向き合い、視野広く国民的課題にもとりくむなかで、損保に働くものの声と実態を主張し、企業や職場をこえて集まることができる産業別単一組織の良さをもつ全損保という労働組合をいかす努力を重ねていきます。そのためにも、「運動、組織、財政の見直し」の到達点を土台に、ていねいな論議を重ねながら運動を前進させていきます。そのスタートに秋のたたかいを位置付け、〇雇用と人間らしく働ける職場を守る、〇損保産業の社会的役割を守る、〇人間を大切にする労働組合として奮闘する、3本の柱でとりくみをすすめます。結成70周年にむけたスローガン「仲間の声と期待を力に全損保らしく歩みつづける」のもと、働くものの生活と雇用、労働条件を守り抜き、国民的課題にもとりくむ決意をあらためて固め、この労働組合に結集し、秋のたたかいを意気高くとりくむことをここに決議します。

2018年9月20日
全損保第78回定期全国大会



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