2007春闘アピール
明日への視座定め 主張する2007年春闘


 組合員のみなさん
 いま、この国では、「改革」の名の下で、あらゆる領域を市場原理でつくりかえようという動きが強められています。「いざなぎ景気」を超えたという「景気回復」は、果実が大企業と一握りの富裕層に滴り落ちるばかりで、社会全体が実感できるものとなっていません。それどころか、連日、格差と貧困、企業不祥事とモラルハザード、教育の荒廃や社会的退廃を伝える出来事が報じられ、そのたびに、誰もが我が身の不安を募らせる日々が続いています。この実態への批判も高まり、偽装請負の是正、タクシー業界の参入規制、大型店舗の出店の歯止めなど、規制緩和を修正させるたたかいも生まれています。  しかし、政府・財界は、不安や批判を逆手に、「改革」の先にこそ「美しい国」、「希望の国」が待っていると語り、国民の不安を承知で突破をはかろうとしています。その衝動は、軍事的プレゼンスと一体で市場原理を世界に押し付けるアメリカの要求に基づくものであり、日米一体の軍事力の強化も伴っています。急を告げる憲法改悪の策動の核心も、現行憲法とは相容れない、この身勝手な将来像を実現する点にあります。
 政府・財界は、居丈高に、この「明日」を受け入れよと、私達一人ひとりに迫っています。

「自由化」新局面 労働組合に確信もち春闘をすすめよう
 組合員のみなさん
 損保産業もまた、この「改革」に投げ込まれています。「金融改革プログラム」は、銀行、証券、保険をひとまとめに市場原理のもとにおき、マネーゲームを競うグローバル競争に適った金融システムをつくろうとしています。そこには、全体を横断して「自己責任」に基づく「ルール」が定められ、行政は、その番人として生殺与奪の権限を握るという競争の土俵が描かれています。しかし「ルール」とは市場原理を貫くための「掟」にほかならず、社会的役割を保証するものではありません。このように損保「自由化」は、損保産業を弱肉強食の競争が貫く産業に変質させる、新局面に踏み込んでいます。「保険金不払い問題」や、「火災保険料取り過ぎ問題」は、これまでの「自由化」がもたらした「歪み」への対処であると同時に、「自由化」新局面へのテコとなり、損保産業を、喧騒と混乱の中で、急激に変質させています。春闘アンケートには、この局面におかれた働く者の悲鳴と疲弊、明日が見えない不安が率直に語られています。

 組合員のみなさん
 政府・財界の突破策は、目に見える形で、今日の「歪み」を拡大し、国民の不安を増幅しながら進められます。そのために、何よりも、国民が絶望し、押し黙ることを望み、声を大がかりに押さえ込む力も強めています。しかし、これらは、あまりに乱暴に進むことから、必ず失敗もあり、早晩、化けの皮ははがれるはずです。損保産業もその縮図です。経営が「危機感」にかられ、「やらなかったこと、やれなかったこと」に手をかける競争が強まれば、今日以上の「歪み」が職場にもたらされます。それは、損保産業と社会的役割が切り離され、国民・消費者との間の矛盾も広がる過程にもなります。
 だからこそ、いまに絶望し、黙っていてはならない時代です。一人ひとりの明日、損保産業の明日をみすえた視座を定め、主張することが何よりも求められています。その視座は労働組合があるからこそ定められ、明日を変える可能性を握ります。そして私たちは、かねてから社会的役割を主張し、的確に明日を争ってきた、この労働組合に、何よりも確信を持っています。
 この確信を手に、私たちは、2007年春闘を、次の点を大切に、前進をはかります。
「自由化」の「歪み」が噴き出す現状ときりむすび、これまでの主張と運動に確信をもって、「損保産業・再生の視点」を力に、労働組合の場から損保産業の明日を主張する
情勢と経営の動向を直視し、働く者の将来のため、労働組合の役割を追求する
職場の声と結びついた主張で、要求と課題を絞込み、真に職場に依拠した運動をすすめ、確信をもって実現の努力を重ねる
山場を迎える日動外勤のたたかいの全面勝利解決をめざし、全力でとりくむ

 この春闘は、労働組合に確信を持って、明日への視座定め、主張する春闘です。明日に向け、一人ひとりの一歩を、この2007年春闘で刻もうではありませんか。


2007年1月20日
全損保支部地協代表者会議




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