声明

 最高裁判所(第三小法廷 上田豊三裁判長)は、昨日(6月29日)、朝日火災海上保険株式会社の上告を棄却(一部については、会社が上告理由を記載した書面を提出しなかったため却下)し、全日本損害保険労働組合朝日支部の運営に支配介入し、大田決氏ほか同支部組合員らに対する賃金・昇格差別、配転等の不利益取扱いがいずれも不当労働行為であるとした東京地方裁判所・東京高等裁判所の判決が確定した。
 会社は昭和53年から不当労働行為を開始したが、相次いでなされた判決や命令をことごとく無視し、その態度を何ら改めることなく一貫して組合運営に介入し、会社の不当労働行為に反対する組合員らにたいして徹底的な差別を続けてきた。
 昭和55年10月の都労委命令以降、樋口勇氏に対する配転についての神戸地方裁判所・大阪高等裁判所・最高裁判所の各判決、大田決氏に対する配転についての東京地方裁判所の仮処分決定等、会社がおこなってきた不当労働行為は幾度となく断罪され、本件についても、東京都地方労働委員会・中央労働委員会の各命令、東京地裁判決、東京高裁判決についで、5度目の判断がなされ、ついに最終的な決着がつけられた。
 平成4年度以降の賃金・昇格差別については、現在、東京都地方労働委員会において係争中であるが、会社は、「最高裁の最終判断がなされていない」ことを唯一の拠りどころとして争っており、最高裁の判断がなされた今、会社が紛争を解決しない大義名分はまったくなくなってしまった。
 会社はすでに緊急命令不履行により100万円の過料の制裁を受けており、さらに、確定判決をないがしろにするようなことは公共的性格を有する保険会社として断じてあってはならない。
 会社と親会社である野村讃券が直ちに、確定判決に従うとともに、平成4年度以降の賃金・昇格差別も含めた全面的な解決をおこなうことを強く求めるものである。


2004年6月30日
朝日火災事件弁護団







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